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逃路
「逃路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逃路の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
生定正を君父の仇と覘って二度も失敗なっている。里見の防禦使となって堂々対敵しても
逃路に待ち伏せする野武士のような役目を振られて、シカモ首尾よく取り逃がして小水門....
「怪塔王」より 著者:海野十三
ごもりながらいいました。そして手をうしろへまわして、しきりに岩をさぐっています。
逃路があれば、逃げるつもりとみえます。 「あははは、博士はご存じないかもしれませ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
人の父には、市内という観念をいかにしても受付けさせなかった。ついに父は荒川放水を
逃路の限りとして背水の陣を敷き、青海流水泳の最後の道場を死守するつもりである。 ....
「島原心中」より 著者:菊池寛
そのどうにもならない境地を、死をもって脱するのは、彼らが、最後の反抗であり唯一の
逃路であるように思われて来たのです。 こうした浅ましい身体で、こうしたみじめな....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
やいお國、お母様は義理堅いお方ゆえ、親父の位牌へ対して路銀まで下すって、そのうえ
逃路まで教えて下さると云うはな実に有り難い事ではないか、何とも申そう様はございま....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
るもののすべてが、実は哀愁のやむにやまれぬ表現であり、自然が彼に教えた哀愁からの
逃路だったのである。そして、もし「自然の叡智」というものが疑えないものだとするな....
「鍵屋の辻」より 著者:直木三十五
左右に分れて隠れる事が出来るし、先が曲ってしまえば、後の出来事は判らない。ここで
逃路を切取って二人が前から懸れぱ袋の鼠に出来る。武右衛門と孫右衛門は鍵屋の角で隠....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
、右手の切口を、箱の蓋の中に入れて、血の落ちるのを防ぎながら、作っておいた裏手の
逃路から出ようとした。その途端、調所の部屋の方で、大勢の足音がした。庄吉は、自分....
「モルガンお雪」より 著者:長谷川時雨
しまったお雪は、 「おっかさんが何と申しますか、よく相談して見て――」 最後の
逃路《にげみち》は、母親よりなかった。古風な、祇園の芸妓《げいこ》さんのお母《か....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の間にあるようなもので、性質すこぶる黠《ずる》く常に群を成し小獣を榛中に取り囲み
逃路に番兵を配りその王叫び指揮して一同榛に入り駆け出し伏兵に捕えしむ、また獲物あ....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
法として免職させようともしないということは、正隆を考えさせる。 つまり彼等は、
逃路を塞いで置いて、火をかけたようなものではないか。何か、魂胆があるに違いない。....
「伸子」より 著者:宮本百合子
、まだ当時の亢奮からすっかり回復していなかった。人は、寄り集ると火の手の工合だの
逃路の相談などをせずにいられなかった余勢で、お喋りになっていた。 纏《まとま》....
「焦点を合せる」より 著者:夢野久作
の時には最早エムデンは居なかった。三洋丸はそのまんまで行けば、そろそろエムデンの
逃路にぶつかるかも知れない。気を付けろ……といったような無電が、ビーッ……ビ――....