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逆立つ
「逆立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逆立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
《いきもの》の緑が蠢《うご》めいている、水草の動くのは、髪の毛がピシピシと流電に
逆立つようだ。
水の流れに、一羽のオツネン蝶が来た、水の上を右に左にひらりと舞....
「犯人」より 著者:太宰治
助である。 蚊《か》の泣くような細い女の声で、そう言うのを、たしかに聞き、髪の
逆立つ思いで狂ったようにはね起き、襖《ふすま》をあけて廊下に飛び出た。廊下は、し....
「人間失格」より 著者:太宰治
、不意に人間のおそろしい正体を、怒りに依って暴露する様子を見て、自分はいつも髪の
逆立つほどの戦慄《せんりつ》を覚え、この本性もまた人間の生きて行く資格の一つなの....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
る、頭の髪《かみ》が、風にふかれて舞《ま》い上がるのも、恐怖《きょうふ》に追われ
逆立つおもいでした。
もう後では、目をつむってこらえている内、するすると竜の口....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
を聊か猶予した、聊か猶予の間に争いは恐しく亢じて仕舞った。
第十三回 毛髪悉く
逆立つ
お浦の言い方は実に毒々しい、乙に言葉を搦《から》んでは有るけれど全く....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
み騙《かた》り取られたのである。こう気がつくと、孫十郎は白髪《しらが》が一本ずつ
逆立つように口惜しがって憤ったが、今更どうすることもできなかった。殊にこの事件は....
「地球盗難」より 著者:海野十三
で彼は、こわごわ次の檻に目を移した。 「呀ッ……」 彼はおのれの頭髪が一本一本
逆立つのをハッキリ意識した。何たる驚異、ああ何たる無惨! 隣りの檻の中に収容せら....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
|字海軍原の傍らなる川中に投込ありし死骸ほど無惨なる有様は稀なり書さえも身の毛|
逆立つ翌六日府下の各新聞紙皆左の如く記したり ◎無惨の死骸 昨朝六時頃築地三丁目....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
もの起こりにおいて味方同志の戦争であるのだから。体内の血が逆に流れ、総身の毛筋が
逆立つような内部の苦しい抗争であるのだから。そして、かつての官武一途も上下一和も....
「ニュース映画と新聞記事」より 著者:寺田寅彦
る、その時の幕の形や運動の模様だとか、また式辞を朗読する老紳士の白髪の一束が風に
逆立つ光景とか、そういう零細な事象までがことごとくこくめいに記録されるのである。....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
も吠えなかった。ただ「ウオーッ」と唸るだけであった。 さすがの鏡葉之助も、頭髪
逆立つ思いがした。 「もう駄目だ、もういけない」 彼は悲惨にも観念した。人間同....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
てやりたい。が、もう弱ったかな。」 と言う間もなかった。 この時は、手の鱗も
逆立つまで、しゃっきりと、爪を大きく開ける、と甲の揺ぐばかり力が入って、その手を....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は廊下の明かり窓の手欄に支えられているのに気がついた時、初めて僕はぞっとして髪が
逆立つと同時に、冷や汗が顔に流れるのを感じた。といって、僕は少しもそれを恥辱とは....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
とでも起りゃしないかと思うと、うっかり口には出せず、まるで身体中の毛が、一本一本
逆立つような思いをしながら、今にどこからか里虹が飛び出して来て、わっしと久米八と....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
消してしまった。 恐ろしい沈黙が、其処にあった。 お梶は、身体中の毛髪が悉く
逆立つような恐ろしさと、身体中の血潮が悉く湧き立つような情熱とで、男の近寄るのを....