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途方
「途方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
途方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
う》。
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仲店の片側。少年はこの男を見送ったまま、
途方《とほう》に暮れたように佇んでいる。父親の姿はどちらを眺めても、生憎《あいに....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
人《しょくしんじん》と云うのは、昔|八岐《やまた》の大蛇《おろち》を飼っていた、
途方もない悪者なのです。
そこで木樵《きこり》はすぐ白犬と斑犬《ぶちいぬ》とを....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
口の悪いメリメと云うやつは、側にいたデュマか誰かに「おい、誰が一体日本人をあんな
途方《とほう》もなく長い刀に縛《しば》りつけたのだろう。」と云ったそうだぜ。君な....
「河童」より 著者:芥川竜之介
》の中へまっさかさまに転げ落ちました。が、我々人間の心はこういう危機一髪の際にも
途方《とほう》もないことを考えるものです。僕は「あっ」と思う拍子にあの上高地《か....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ニニイだね。」
「さもなければ僕の中の声楽家だよ。」
彼はこう答えるが早いか、
途方《とほう》もなく大きい嚔《くさ》めをした。
五
ニイス....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
ように出家《しゅっけ》せぬか!」
如来が雷音《らいおん》に呼びかけた時、尼提は
途方《とほう》に暮れた余り、合掌《がっしょう》して如来を見上げていた。
「わたく....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
だよわ》せながら、頭を稍《やや》後へ反《そ》らせてほとんど独り呟くように、こんな
途方もない事を云い出した。
「細《こま》かい事実の相違を挙げていては、際限がない....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
すぼめて歩いていると、鼻の先からは、滴《しずく》が垂れる。襟からは、水がはいる。
途方に暮れていた際だから、李は、廟を見ると、慌てて、その軒下へかけこんだ。まず、....
「死後」より 著者:芥川竜之介
」
妻は驚いたように僕の顔を見上げた。その目はいつも叱《しか》られる時にする、
途方《とほう》に暮れた表情をしていた。
「出ているだろう?」
「ええ。」
「じゃ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
、夢中になれぬ筈ではないか? 理非曲直《りひきょくちょく》も弁《わきま》えずに、
途方《とほう》もない夢ばかり見続けている、――そこが高平太《たかへいだ》の強い所....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
体中《からだじゅう》の神経の震《ふる》えるのを感じた。ましてナイフを落した時には
途方《とほう》に暮れるよりほかはなかった。けれども晩餐《ばんさん》は幸いにも徐《....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
で彼は或日の夕方、もう一度あの洛陽の西の門の下へ行って、ぼんやり空を眺めながら、
途方に暮れて立っていました。するとやはり昔のように、片目|眇の老人が、どこからか....
「狂女」より 著者:秋田滋
ったら――」 そう云い残して、彼はその部屋をでて行った。 その翌日、老女は、
途方に暮れながらも、どうかして彼女に着物を著せようとした。けれども、狂女は身を※....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
私は抽斗をあけると黄ろく色の変った紙片がうず高く積みあがっているのを見て、暫時は
途方に暮れたが、やがてその中から一枚の紙片をとりあげた。 ああ、もしも諸君が生....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
会に一歩あしを踏み入れると、彼等はその広いことと、往来の人の多いことに、しばしは
途方に暮れた。 しかし彼等はこういう人たちのなかに探ねる息子のジャンもいるに違....