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途端
「途端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
途端の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
風俗画報を手から落そうと致しました。危く声を挙げて叫ぼうと致しました。しかもその
途端に一層私を悸《おび》えさせたのは、突然あたりが赤々と明《あかる》くなって、火....
「影」より 著者:芥川竜之介
」
陳はほとんど呻《うめ》くように、なつかしい妻の名前を呼んだ。
するとその
途端《とたん》である。高い二階の室《へや》の一つには、意外にも眩《まぶ》しい電燈....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
え者め。人違いをするな。」と叱りつけた。左近は思わず躊躇《ちゅうちょ》した。その
途端に侍の手が刀の柄前《つかまえ》にかかったと思うと、重《かさ》ね厚《あつ》の大....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
体を抱き上げて、水際の柔らかな泥の上へまっさかさまに抛《ほう》り出した。
その
途端に何小二は、どうか云う聯想の関係で、空に燃えている鮮やかな黄いろい炎が眼に見....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
誰に尋《き》いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚《わめ》きました。
その
途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急に※陀多のぶら下っている所か....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
まったのであろう? あのお時儀は全然反射的である。ぴかりと稲妻《いなづま》の光る
途端に瞬《またた》きをするのも同じことである。すると意志の自由にはならない。意思....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
がら、急に夏羽織の腰を擡《もた》げて、※々《そうそう》店の方へ退こうとした。その
途端に障子が明くと、頸《くび》に湿布《しっぷ》を巻いた姉のお絹《きぬ》が、まだセ....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
りました。わたくしは咄嗟《とっさ》に半開きの傘を斜めに左へ廻しました。数馬はその
途端《とたん》に斬《き》りこみましたゆえ、わたくしへは手傷も負《お》わせずに傘ば....
「白」より 著者:芥川竜之介
《かわい》そうな黒を残したまま、一目散《いちもくさん》に逃げ出しました。
その
途端《とたん》に罠が飛んだのでしょう。続けさまにけたたましい黒の鳴き声が聞えまし....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
交《か》う燕《つばくら》の中を、家々へ帰ろうとする所であった。が、彼がそこへ来た
途端《とたん》に、彼女は品《ひん》良《よ》く身を起すと、一ぱいになった水甕を重そ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
せめては向うの橋の上に一列の汽車でも通《とお》っていたら、――ちょうどこう思った
途端《とたん》である。大きいリボンをした少女が一人、右手に並んだ窓の一つから突然....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
ある大尉なぞは、この滑稽を迎えるため、ほとんど拍手さえしようとした。ちょうどその
途端だった。突然烈しい叱咤《しった》の声は、湧き返っている笑の上へ、鞭《むち》を....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
つきなさい。わたしはあなたに慰められるよりも、笑われる方が本望ですと云うた。その
途端《とたん》に、――妙ではないか? とうとうおれは吹き出してしもうた。」
「少....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
たのに違いない。が、俺は格別気にも止めずに古本屋の店へはいろうとした。するとその
途端《とたん》である。馭者は鞭《むち》を鳴らせながら、「スオ、スオ」と声をかけた....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
ろう」 婆さんは眼を怒らせながら、そこにあった箒をふり上げました。 丁度その
途端です。誰か外へ来たと見えて、戸を叩く音が、突然荒々しく聞え始めました。 ....