這い上る[語句情報] » 這い上る

「這い上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

這い上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖婆」より 著者:芥川竜之介
ばかり手前でしたが、仕合せと通りかかった辻車が一台あったので、ともかくもその車へ這い上ると、まだ血相を変えたまま、東両国へ急がせました。が、その途中も動悸《どう....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
策がある、風呂場から現われる時はこれに対する計《はかりごと》がある、また流しから這い上るときはこれを迎うる成算もあるが、そのうちどれか一つに極《き》めねばならぬ....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
った口で、今夜私も一緒になって、この肉を喰うのかなあと思う。 岩壁の大天井まで這い上ると、日輪は爛々として、頭上に高い、西の方乗鞍岳御嶽の大火山脈は紫紺の森と....
涼味数題」より 著者:寺田寅彦
涼しや籐の寝椅子 涼しさや蚊帳の中より和歌の浦 水盤に雲呼ぶ石の影涼し 夕立や蟹這い上る簀の子縁 したたりは歯朶に飛び散る清水かな 満潮や涼んでおれば月が出る ....
天馬」より 著者:金史良
》いたりのめったり、水溜りにあやまって落ち込んだりしていた。でも彼は夢中になって這い上る。その時に突然足元の方で蛙共が、 「鮮人《ヨボ》!」 「鮮人《ヨボ》!」....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
くへえま! ふうれえい! 船室は、B甲板の106号。左舷である。 夜、寝台へ這い上る。 同時に、さまざまな断片が私のこころへ這いあがる。 バクスタア家か....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ちに、自然現象のように自由で無頼な放浪者を気取っていたのかも知れない。 寝台へ這い上る。 同時に、さまざまな断片が私のこころへ這いあがる。 ホテルから東京....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
たっているので、蒼い明るみの真中へうしろ向きに見えて出ました――恐ろしい蜘蛛でも這い上るように、一つ一つ段へつかまりながら―― 妙信 (年齢六十に近く白髯を蓄え....
怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
っと大きな怪物かもしれんぞ」 僕は、いくたびか辷り落ちて、やっと、怪物の背中へ這い上ることが出来た。そこは、やはりつべつべしているが、小丘のように広い。足もと....
空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
とになるが、しからばその死因はどこにあるのであろう? 全然足跡をのこさずに、窓に這い上ると云うことは、人間にとっては全く不可能なことである。またあるいは窓の外か....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
古い故郷の家居へたどりついた彼女は、見るかげもなく痩せ衰えて、雨戸を開け、座敷へ這い上るのもやっとのくらいだった。誰一人訪れるものもない家、ひっそりと静まりかえ....
国境」より 著者:黒島伝治
舳の向きをかえ、矢のように流れ下りながら、こちらへ泳ぎついてきた。そして、河岸へ這い上ると、それぞれの物を衣服の下や、長靴の中にしのばして、村の方へ消えて行った....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
下げて居りますゆえ、泳げるものでは有りませんから、がぶ/\しながら石垣へよう/\這い上ると、万年の橋詰でございます、河岸へ立上りますに、ブーと吹きおろす寒風に袖....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
ば、 大蟻の張板のぼる暑さかな 白峰 は、張板を下からがさがさと瞬く間に大蟻の這い上る光景を見つけたところいささか他より一頭地を抜いているかと思われます。 大....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
た体を、笹にしがみついて辛くも支えることを得た。余りの馬鹿らしさに独り苦笑して、這い上る拍子にふと見ると実に驚いた。この直径六尺ばかりの擂鉢の底には、更に直径二....