這い出す[語句情報] » 這い出す

「這い出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

這い出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
引張りました。妻の肩を押して起そうとしました。が、圧《お》しにかかった梁は、虫の這い出すほども動きません。私はうろたえながら、庇の板を一枚一枚むしり取りました。....
坑夫」より 著者:夏目漱石
いには驚いた。しかし幸《さいわ》い一本道だったから、どぎまぎしながらも、細い穴を這い出すと、ようやく初さんがいた。しかも、例のように無敵な文句は並べずに、 「ど....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
は藁《わら》の上から急に笹原の中へ棄てられたのである。 ようやくの思いで笹原を這い出すと向うに大きな池がある。吾輩は池の前に坐ってどうしたらよかろうと考えて見....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
用して、敵の油断に乗じたのである。 しかし、啄木鳥に穴の底を叩かれて、ノコノコ這い出すような謙信ではなかった。 八月十六日以来、謙信は只々山上を逍遙して古詩....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
なったところで、人は何とも思わぬ。狂人のようになれぬ以上は、このみじめな環境から這い出すべしだと思う。夜の雲がはっきりみえる。 * (八月×....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
く春の朝寝のぬくぬくとした寝床の温気は、実はこうしていられないのだと思いながらも這い出すことが容易でないのと同じように、大阪地方の温気に馴れた純粋の大阪人にとっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
みました。 なるほど、それは人影である。闇の中でも慣れた目でよく見れば、中から這い出すようにして庭へ下りる人は、小脇に白い物を抱えていることがわかります。その....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
道庵としても歯切れの悪い返答ぶりでありました。何となれば、夜中に這い出そうとも、這い出すまいとも、赤ん坊じゃあるまいし、よけいな世話を焼いたもので、それをまた道....
夏の花」より 著者:原民喜
れ、家屋の下敷になって暫く藻掻《もが》いた。やがて隙間があるのに気づき、そこから這い出すと、工場の方では、学徒が救いを求めて喚叫している――兄はそれを救い出すの....
クララ」より 著者:林芙美子
したが、これではまだ神樣にはなれないと誰か云うようなのです。で、むつは風呂桶から這い出すと、薄い材木をかついで來たり、わらなわを探して來たりして風呂桶のなかで自....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
す。こういう雨の日にきつくなって肌にまつわりつくような潮の匂い、雨だれのところに這い出すカニ、そんなことを思い出します。虹ヶ浜の夏にもやっぱりこんな雨の日があっ....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
しをダラリと下げてしまった。 畳数枚にもあたる巨大な白蜘蛛が、暗い洞窟の中から這い出すように、今、離座敷の、左門の部屋から、縁側の方へ這い出しつつあった。背を....
夜の構図」より 著者:織田作之助
た。 ベッドから受話機までは、手が届かなかった。信吉はうるさそうに、ベッドから這い出すと、 「もし、もし……」 「須賀さんでいらっしゃいますか」 電話の声は....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、いま目の前に沈んでゆく侍従の運命が小坂部には気遣われた。かれはあわてて洞穴から這い出すと、眇目の男は手をふってさえぎった。 「この川は瀬が早い。一度流されたら....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
って百両儲かりゃあ、世の中に貧乏するやつあねえや。畳の隙からでも、小判がぞろぞろ這い出すところを、見てえもんだ。竜の手などと、人を喰ってるにもほどがあらあ。」 ....