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「這う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

這うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
羅生門」より 著者:芥川竜之介
下人は、守宮《やもり》のように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。そうして体を出来るだけ、平《たいら》にしながら、頸を出....
婦系図」より 著者:泉鏡花
木の実の生った状に顔を並べて、斉しくお妙を見送った、四ツの髯の粘り加減は、蛞蝓の這うにこそ。 真砂町の家へ帰ると、玄関には書生が居て、送迎いの手数を掛けるから....
紅玉」より 著者:泉鏡花
して突離す。初の烏、※と地に座す。三羽の烏はわざとらしく吃驚の身振をなす。)地を這う烏は、鳴く声が違うじゃろう。うむ、どうじゃ。地を這う烏は何と鳴くか。 初の烏....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
たものがある。切禿で、白い袖を着た、色白の、丸顔の、あれは、いくつぐらいだろう、這うのだから二つ三つと思う弱々しい女の子で、かさかさと衣ものの膝ずれがする。菌の....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
様御用、と札の建ったも同一じゃで、誰も手の障え人はござりませぬで。 爺どのは、這うようにして、身体を隠して引返したと言いましけ。よう姿が隠さりょう、光った天窓....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ないように何んとなく悄れて行く。……その後から、鼠色の影法師。女の影なら月に地を這う筈だに、寒い道陸神が、のそのそと四五尺離れた処を、ずっと前方まで附添ったんだ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
川に添い、がたがたと物置が並んで、米俵やら、筵やら、炭やら、薪やら、その中を蛇が這うように、ちょろちょろと鼠が縫い行く。 あの鼠が太鼓をたたいて、鼬が笛を吹く....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
あって、窓硝子の上へ真白に塗った鉄の格子、まだ色づかない、蔦の葉が桟に縋って廂に這う。 思わず、そこへ、日向にのぼせた赤い顔の皺面で、鼻筋の通ったのを、まとも....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
女は羨しいと思いますと、お腹の裡で、動くのが、動くばかりでなくなって、もそもそと這うような、ものをいうような、ぐっぐっ、と巨きな鼻が息をするような、その鼻が舐め....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
―もっともその折は同伴があって、力をつけ、介抱した。手を取って助けるのに、縋って這うばかりにして、辛うじて頂上へ辿ることが出来た。立処に、無熱池の水は、白き蓮華....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
へ帰ってもあの年紀で毎晩々々|機織の透見をしたり、糸取場を覗いたり、のそりのそり這うようにして歩行いちゃ、五宿の宿場女郎の張店を両側ね、糸をかがりますように一軒....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を振って、ふッふッと息をして、脊の低いのが、そうやって、胸を折ったから、そこらを這うようにして店へ来るじゃありませんか。 早附木を下さいなッて、云ったけれど聞....
黒百合」より 著者:泉鏡花
、手を返して、爪立って、廂を払うと、ふッと消えた、光は飜した団扇の絵の、滝の上を這うてその流も動く風情。 お雪は瞻って、吻と息を吐いて、また腰を懸けて、黙って....
狂人日記」より 著者:秋田滋
合、誰かが私を疑うだろうか。 八月十五日―― 誘惑! 誘惑が、私の身中を虫が這うように、這い※る。生きものが今死ぬという際に発する苦しそうな叫び声のような、....
活人形」より 著者:泉鏡花
怪しいかな影法師のごとき美人静々と室の中に歩み出でたり。この幻影譬えば月夜に水を這う煙に似て、手にも取られぬ風情なりき。 折から畳障りの荒らかなる、跫音彼方に....