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「通う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

通うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
目のあらい簾《すだれ》が、入口にぶらさげてあるので、往来の容子《ようす》は仕事場にいても、よく見えた。清水《きよみず》へ通う往来は、さっきから、人通りが絶えない。金鼓《こんく》をかけた法師《ほうし》が....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
筒《つつ》を台にした古風なランプに火が燈《とも》ると、人間らしい気息《いぶき》の通う世界は、たちまちそのかすかな光に照される私の周囲だけに縮まってしまった。しか....
寒さ」より 著者:芥川竜之介
ょうず》みになっているんですからね。」 「僕の方じゃいけないですか? 毎日学校へ通うのに汽車へ乗るのさえかまわなければ。」 「あなたの方じゃ少し遠すぎるんです。....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
して、河原蓬《かわらよもぎ》の中に腰を下しながら、ここばかりは涼風《すずかぜ》の通うのを幸と、水嵩《みかさ》の減った川に糸を下して、頻《しきり》に鮠《はえ》を釣....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
――十二歳の小学生は弁当やノオト・ブックを小脇《こわき》にしたまま、大橋図書館へ通う為に何度もこの通りを往復した。道のりは往復一里半だった。大橋図書館から帝国図....
」より 著者:芥川竜之介
る。その退屈な空の下で、高架《こうか》鉄道を汽車が通る。被服廠《ひふくしょう》へ通う荷馬車が通る。店の戸が一つずつ開《あ》く。自分のいる停車場にも、もう二三人、....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
―弟といっしょに、五条の橋の下で、鮠《はえ》を釣《つ》った昔の記憶が、この炎天に通う微風のように、かなしく、なつかしく、返って来た。が、彼も弟も、今は昔の彼らで....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
「片葉の蘆」はどこかこのあたりにあるものと信じない訳には行かなかった。現に夜学に通う途中「お竹倉」の向うにばかばやしを聞き、てっきりあれは「狸ばやし」に違いない....
」より 著者:芥川竜之介
速一同の話を順々にこれで聞くと致そう。 「こりゃ童部《わらんべ》たち、一座へ風が通うように、その大団扇で煽《あお》いでくれい。それで少しは涼しくもなろうと申すも....
或る女」より 著者:有島武郎
を降りて行った。葉子はちらっと叔母の後ろ姿を見送って驚いた。今の今までどことて似通う所の見えなかった叔母も、その姉なる葉子の母の着物を帯まで借りて着込んでいるの....
或る女」より 著者:有島武郎
予想だけでも葉子の気分をそこなうには充分すぎた。 五月の始めごろから葉子の家に通う倉地の足はだんだん遠のいて、時々どこへとも知れぬ旅に出るようになった。それは....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
出来ない。恋人の耳にささやかれる言葉はいつでも流暢であるためしがない。心から心に通う為めには、何んという不完全な乗り物に私達は乗らねばならぬのだろう。 のみな....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
(二) 仁右衛門の小屋から一町ほど離れて、K村から倶知安《くっちゃん》に通う道路添《みちぞ》いに、佐藤与十という小作人の小屋があった。与十という男は小柄....
星座」より 著者:有島武郎
場がきまった。今日はひとつわしの心にどれほど力があるかやってみるのだ。腰から下に通う神経は腐って死んでいると医者もいうが、わしはお前がたに奇蹟を見せてやろう。案....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
目菊五郎の人気などは実に素晴らしいもので、一丁目の中村座を越えてわざわざ市村座へ通う人も少くなかった。 ◇ 前述もしたように、とにかく江戸時代は....