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通り越す
「通り越す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
通り越すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
人の兄と巴里の美術家とは至極懇意な間柄でもあるからで。丁度人が眠くなる夜の部分を
通り越すと反《かえ》って頭脳《あたま》が冴《さ》えて来るように、岸本は疲れながら....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
、到底開く可き見込みがない、アア待ちに待った十一時は鳴ったけれど、余は此の関所を
通り越す事が出来ぬ、恨めしいとも情けないとも殆ど言い盡す言葉がない。
けれど余....
「家」より 著者:島崎藤村
楽しく食うという風であった。尤もこの沈黙はそう長くは続かなかった。一度その状態を
通り越すと、彼女は平素のお雪に復った。そして、晴々しい眼付をして、復た根気よく働....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
船室の中も涼しかった。 四月二十五日 十二使徒という名の島を右舷に見た。それを
通り越すと香炉のふたのような形の島が見えたが名はわからなかった。 一等客でコロ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
も憶してはならん、ずっと精神を凝して、仮令向うに鉄門があろうとも、それを突切って
通り越す心がなければなりませんぞ」 孝「有難うござりまする」 良「お舅御さん、こ....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
安らかに玉のような子供を産み落としたという例は、皆目ないのである。 その難産を
通り越すか越さないかが一番の問題である。越せばとにかく絵は生まれる。越さない時は....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
極く安らかに玉の様な子供を産み落したと云う例は、皆目無いのである。 その難産を
通り越すか越さないかが一番の問題である。越せばとに角絵は生れる。越さない時は死産....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
りする、その田圃も何となく、大な庭の中にわざと拵えた景色のような、なだらかな道を
通り越すと、坂があって、急に両側が真赤になる。あすこだろう、店頭の雪洞やら、軒提....
「明治三十二年頃」より 著者:寺田寅彦
る。こうした活気はすべてのものの勃興時代にのみ見らるるものであって、一度隆盛期を
通り越すと消えてしまう。これはどうにも仕様のないものである。 たしか浅井和田両....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
なるんですもの。」 「ええそれはほんとうに考えることは苦しいことです。然しそれを
通り越すことが、やがて私達の最初の踏段になるのですから。」 「では私達はまだ何も....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
その蛇の矢倉を案内しよう、と老実やかに勧めたけれども、この際、観音の御堂の背後へ
通り越す心持はしなかったので、挨拶も後日を期して、散策子は、やがて庵を辞した。 ....
「偽刑事」より 著者:川田功
が再び出て来た時、持って居た買物は風呂敷に包まれて居た。 店を出て四つ角を一つ
通り越すと、大きな銀行の建物があった。周囲は広い余地を残し、鈴懸の木立から思い出....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
う者もあるです。
そのテンリーという道にもやはり三重、四重の関所があって容易に
通り越すことが出来ない。で、その道筋の関所の在る所は間道を通っても容易に通れぬと....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
からというのである。そして言葉を継いで、子供も薄々は感づいているが、もうこの夏を
通り越すか越さぬかのところまで、病気が来ているということを内々医者からも、耳打ち....
「あの世の入口」より 著者:知里真志保
てみた。すると穴はしだいに狭くなって、やっと這って通れるくらいになったが、そこを
通り越すとまた広くなって、やがて明るい所へ出た。見るとそこには山も川もあり、ムジ....