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速足
「速足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
速足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
さな蜘蛛《くも》が一匹、路ばたを這《は》って行くのが見えました。そこで※陀多は早
速足を挙げて、踏み殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命のあ....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
われた闊葉樹林の路を下るのはいい。二人はいつの間にか元気になって、ストンストンと
速足で歩いた。 この下山の途中である。ふと北の方を眺めた私は、桔梗色に澄んだ空....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
だ小さい包を小脇にかかえて、無言のままで、門を出ていった。 それからは、やけに
速足になって、監獄通りの舗道を、百ヤードほども、息せききって歩いていったが、そこ....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
ートに身を包んで烈しい風を真面に受けながら、線路伝いに殺人現場のW停車場へ向って
速足に歩き続けていた。 沍て泣き喚く様な吹雪の夜の事だ。 雪はやんでいたが、....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
してどうやら林へ移ったらしい。 南洋原始林の大山火事! 鹿や兎や馴鹿は自慢の
速足を利用して林から林へ逃げて行く。小鳥の群は大群を作って空の大海を帆走って行く....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
で何処ぞで呉れ、捨てるつもりで被て来たには相違無いわびしいものであった。 少し
速足になった。雪はもとよりべた雪だった。ト、下駄の歯の間に溜った雪に足を取られて....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
《うわさばなし》もきかされているので、唱《うた》う気にはなれません。
と号令が
速足進めに変り、「一《オイチ》、二《ニッ》、一《オイチ》、二《ニッ》」と、黒井さ....
「春盲」より 著者:豊島与志雄
えた。ふと眼を覚して耳を傾けると、たしかに馬の足音だった。それも、騎馬の威勢よい
速足ではない。何か重い車でも引いて、遠い道を疲れながらこっとりこっとり歩いてる音....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、一つ所にじっとしていられないために、よけいな苦労を求めて廻る、あの持って生れた
速足さえ無ければ、ほんとに暢気《のんき》なお百姓さんで苦労なく一生を暮して行かれ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
を旅立ちをしたお銀様の父伊太夫と、その一行でありました。 そこで、がんりきは、
速足をごまかして、わざと一行のあとを後《おく》れがちに慕うことになる。 伊太夫....
「小景」より 著者:宮本百合子
が膝かけなしで俥に乗り、カラカラ、カラと鈴をならして駆けさせるのを見ないふりで、
速足に前へ前へと追い抜いて行く。 女は、一目で、此界隈の者が多いのを知れた。種....
「その頃」より 著者:宮本百合子
し、眼付が足柄山の金時のような感じを与える男の人が、坪内先生の手紙を片手に握って
速足に出て来た。これが瀧田樗蔭氏であった。白絣に夏羽織の裾をゆすって二階へ上った....
「千世子(三)」より 著者:宮本百合子
ッと歩いた。 少し行って後を振返った時京子がまだ立って居るのを見て前よりも一層
速足に歩き出した。 広い屋敷町の道の両端にひそんで居る闇がどうっと押しよせて来....
「伸子」より 著者:宮本百合子
合で彼がいつもより三十分早く戻り、あの角を曲った拍子に自分を見はしまいか。後から
速足で来たり、口笛をふいたりしはしまいか。――佃は今日、伸子がいずれにせよ出かけ....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
の一人に違いない少年が、何かにたたきのめされたように硬張って死んでいる。二人は、
速足に高地を引かえした。そして、伍長を案内して来た。話をききつけた者は、皆ぞろぞ....