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「逸散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

逸散の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
今に比べてはるかに高温でありまた巨大であった時分に、ヘリウムが既に地球雰囲気から逸散してしまったであろうということも考えられないことではない。 衝突の効果に関....
地図にない島」より 著者:蘭郁二郎
たが、そのまま圭さんにもことわらずに、その小高い葦簾張りの監視所を飛出すと砂浜を逸散に駈出していた。もっと傍に行って、たしかめたかったからである。 凸凹だらけ....
「手首」の問題」より 著者:寺田寅彦
、一度始まった弦の振動をその自然の進行のままに進行させ、そうしてそのエネルギーの逸散を補うに足るだけの供給を、弦と弓の毛との摩擦に打ち勝つ仕事によって注ぎ込んで....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
そッ》と其方角を観る。果してポチが門前へ迎えに出ている。私を看附《みつけ》るや、逸散《いっさん》に飛んで来て、飛付く、舐《な》める。何だか「兄さん!」と言ったよ....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
皮花の匂いをいっこうに感じなかった。それだのに、この室では、まるで早苗の情熱から逸散してでも行くかのように、涼しげな、清々しい花粉の香りがする。ああそれが、昨夜....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ら馬に乗った男が三人ばかり走って参りました。 するとその二人の男は杖を打棄って逸散に逃げ出したです。これがため図らずも賊難を免れた訳で、その馬に乗った三人の人....
私本太平記」より 著者:吉川英治
あとから来い」 癇しゃくをおこしたらしい。馬腹を蹴ッた。馬は馬体を斜めにしつつ逸散に大和大路のかどを東へ曲がって行った。 三十三間堂を横に、いちど瓦坂の下も....
私本太平記」より 著者:吉川英治
これ以上はもはや」 介は嘆じた。そして身をひるがえすやいな、湊川の川尻のほうへ逸散に駈け去った。――同時に、彼の姿が、或る一合図を、足利勢のすべてへ告げていた....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
刻の円タクの事を思い出したが、もう車はどこにも見えなかった。彼は雨に濡れながら、逸散に馳け出した。 ぐっすり眠込んでいる友人を叩き起して、 「君、危篤の病人な....