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逸早く
「逸早く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逸早くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
重く倒れようとした――手を主税の肩に突いて、道子はわずかに支えたが、早瀬の掌には
逸早く壁の隅なる煤を掬って、これを夫人の脛に塗って、穂にあらわれて蔽われ果てぬ、....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
とする。多くの人は省察をここに限り、愛の体験を十分に噛みしめて見ることをせずに、
逸早くこの観念を受け入れ、その上に各自の人生観を築く。この観念は私達の道徳の大黒....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
った。 住民の中には、僕の方を胡散くさそうに、ふりかえる者もあった。しかし僕は
逸早く病院の寝衣を脱ぎすて、学生服に向う鉢巻という扮装になっていたので、そんなに....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
この溝へ弾き込んだものにちがいありませんでした。私はとも角も其の蟇口を拾い上げて
逸早く其場を立ちのくと共に、細田氏の眼底に、この毒々しい赤い三角形が刻み込まれた....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
見まわした。このときニヤリと笑ったのは、星宮学士だった。待ち構えたように、それを
逸早く認めた川波大尉だった。彼は軍医の話をそちのけにして、スックリ其の場に立ち上....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
、エレベーター故障事件に発して、炯眼なる私立探偵|帆村荘六に感付かれたが、軍部は
逸早くそれを識ると、数十万円を投じたその地下道を惜気もなく取壊し、改めて某区の出....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
た奴は仙太を殺すつもりはなかった。仙太の仆れたのに駭いて、あとの金貨は放棄して、
逸早く逃げだしたのだ。見つかっちゃ大変というのでネ」 「これは可笑しい」と折井刑....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
にしているものと見える。 とにかく、彼天駆がそういう風に菩提心を起したことは、
逸早く機関誌「ザ・プロシーデングス・オブ・ザ・インスチチュート・オブ・ニッポン・....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
操らせて、亭主らしい年配な法体したのが漕ぎつけて、「これはこれは太夫様。」亭主も
逸早くそれを知っていて、恭しく挨拶をした。浴衣の上だけれど、紋の着いた薄羽織を引....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
足許に、二人連立つ影を見た。 「大丈夫だろうかね。」 「雷様ですか。」 男衆は
逸早く心得て、 「串戯じゃありませんぜ。何の今時……」 「そんなら可いが、」 ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
のなら、使い方を見せようと、この可恐しい魔法の道具を振廻されては大変と、小宮山は
逸早く、 「ええ、もう存じておりますとも。」 と一際念入りに答えたのであります....
「米」より 著者:犬田卯
手甲をつけたり、それからまた小魚を入れるぼて笊を探しあぐねているうち、兄の由次に
逸早く持って行かれてしまったのである。勝からいえば自分にあてがわれたその股引と手....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
的だねえ。レデイのようだね。それじゃ僕が…… 沢本と戸部とが襲いかかる前に瀬古|
逸早くそれを口に入れる。 瀬古 来た来た花田たちが来たようだ。早く口を拭え。 ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
奴の肚』を公けにし、続いて同じ年の暮れに『ひとよぎり』を出版し、二葉亭に先んじて
逸早く嵯峨の屋お室の文名を成した。 二葉亭の初めての試みはゴーゴリの飜訳であっ....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
い処がなくて、※びたまゝ捨てゝあるのを旅行の途次に見たこともある。少女の何人かを
逸早く米国に送ってそれを北海道の開拓者の内助者たらしめようとしたこともある。当時....