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逸楽
「逸楽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逸楽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
したりしながら*ヴィストにうち興じている時――要するに、この誰も彼もがひたむきに
逸楽に耽っている時でさえ、アカーキイ・アカーキエウィッチはなんら娯楽などにうきみ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
って生きていると思われている。これは、つまらない狂信か、さもなければ見さげ果てた
逸楽である。インドの心霊性を無知といい、シナの謹直を愚鈍といい、日本の愛国心をば....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ことの出来ない、伸子の告白文が現われてくるのだ。それは気紛れな妖精めいた、豊麗な
逸楽的な、しかも、ある驚くべき霊智を持った人間以外は、とうていその不思議な感性に....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
船に御守殿姿具しての夕涼み、江上の清風と身辺の美女と、飛仙を挟んで悠遊した蘇子の
逸楽を、グッと砕いて世話でいったも多く、柳橋から枕橋、更には水神の杜あたりまでも....
「娯楽論」より 著者:戸坂潤
とが誤りであるばかりでなく、之を快楽に包摂させることも亦誤りだ。 快楽の一種に
逸楽とでも云うべきものがある。之とても娯楽と一つではない。
逸楽は或る逃避的な快楽....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
不思議な人生の力に駆られて互いに抱擁し合っても、その接吻にはにがい涙があり、その
逸楽には苦痛がまじるので、この若い二人は、自分たちはたしかに人生に従順なる奴隷で....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
燃えたっていた。太陽は沸きたっていた。液体の空が、透明の河が、流れていた。大地は
逸楽のあまりあえぎ煙っていた。草も木も昆虫《こんちゅう》も、多数の生物は、空中に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
らは最も有毒なものを摘み取らずにはおかなかった。すなわち次のような警句を。――「
逸楽の趣味は勤勉の趣味を鋭敏にするのみである。」――「処女が享楽しないうちに母と....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
愉快だった。彼はきわめて粗野ではあったけれど、無邪気な好奇心をもち、感傷的な清い
逸楽的な心をそなえていた。女の眼の中に輝くちらちらした燐光《りんこう》的な炎に、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の熱狂だ……。そして、君たちのほうには、フランスの頽廃のうちに呻《うめ》いてる、
逸楽的な自殺の発作がある……。一方は獣、そして一方は餌食《えじき》。それで人間は....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
※《こめかみ》、気まぐれらしい頤《あご》、隅《すみ》がやや脹《ふく》れてる利発な
逸楽的な口、パルメジアニノ式の純潔な小半獣神みたいな微笑、それから長い細《ほっ》....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
調をなすものは、空想に対する異常な恐怖であったろう。空想には思想の悪魔性と物慾の
逸楽性との誘惑が伴う。鴎外はそれを明らかに認めて、恐れていたのではなかろうか。 ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
なければどうにもならんな。……都の奴等と来たら、全く軽佻浮薄だ。あのような惰弱な
逸楽に時を忘れて、外ならぬ己が所業で、このやまとの国の尊厳を傷け損ねていることに....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
作にあるかはあえてわざわざ問うまでもあるまい。しからば少量の優品を作り出して優雅
逸楽に耽らんとするには、その作品は誰が作るのであるかに問題の重点をおき、これが注....
「偶言」より 著者:津田左右吉
が当時の宮廷や貴族の調度に用いられた屏風絵に現われている濃艶華麗な服装を。肉感的
逸楽の気が沁み渡っていた浄土教の宗教画として今も伝わっている弥陀来迎の図などのコ....