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遁げる
「遁げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遁げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
直なところ、わっしは遁《に》げるよ」 「足下《そこ》もか」 「え、君は」 「私も
遁げるよ」と目を合わせつ。しばらく言《ことば》途絶えたり。 「高峰、ちっと歩こう....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
で、溝板を取ろうとする、め組は手品の玉手箱の蓋を開ける手つきなり。 「お止しよ、
遁げるから、」 と言う処へ、しとやかに、階子段を下りる音。トタンに井戸端で、ざ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ていないから、火傷はさせぬが、夢中で取られまいと振動かす、小児は手を出す、飛車を
遁げる。 よだれを垂々と垂らしながら、占た! とばかり、やにわに対手の玉将を引....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
馬蛤の穴を刎飛んで、田打蟹が、ぼろぼろ打つでしゅ、泡ほどの砂の沫を被って転がって
遁げる時、口惜しさに、奴の穿いた、奢った長靴、丹精に磨いた自慢の向脛へ、この唾を....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
……縮緬のなぞはもう疾くにない、青地のめりんす、と短刀|一口。数珠一|聯。千葉を
遁げる時からたしなんだ、いざという時の二品を添えて、何ですか、三題話のようですが....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ら天蚕糸に鉤をかけて、行燈を釣らせぬ分別。 かねて謀計を喋合せた、同じく晩方|
遁げる、と見せた、学校の訓導と、その筋の諜者を勤むる、狐店の親方を誘うて、この三....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
よ。……面の皮は、雨風にめくれたあとを、幾たびも張替えたが、火事には人先に持って
遁げる何十年|以来の古馴染だ。 馴染がいに口を利くなよ、私が呼んでも口を利くな....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
家も店も潰した果が、女房子を四辻へ打棄って、無理算段の足抜きで、女を東京へ連れて
遁げると、旅籠住居の気を換える見物の一夜。洲崎の廓へ入った時、ここの大籬の女を俺....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
額の皺が、ぴりぴりと蠢いて眼が血走る。…… 聞くどころか、これに怯えて、ワッと
遁げる。 「実家はな。」 と背後から、蔽われかかって、小児の目には小山のごとく....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い。この人、帰したくない、とか云って遊女が、その帯で引張るか、階子段の下り口で、
遁げる、引く、くるくる廻って、ぐいと胸で抱合った機掛に、頬辺を押着けて、大きな結....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
いた。 「怯えたどころか、一時はそのままになるかと思った。起きるには起きられず、
遁げるには遁げられず、寝返りさえ容易じゃない、実際息が留まりそうだったものね。」....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、胸倉とって、ゆすぶらはる、……おかみはんどす。キャアいうて、恥かし……長襦袢で
遁げるとな、しらがまじりの髪散らかいて、般若の面して、目皿にして、出刃庖丁や、撞....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
え。」 というが疾いか、愛吉は手を伸してむずとその袂を捉えた。 「あれ、」 「
遁げるない、どうだ、謂うことを肯かねえか、応といやあ夫婦になるぜ。」 「御串戯を....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
間を切って、ひょいと、硝子戸を出たでしょう。集っていたのは、バラバラと散る。 (
遁げるかッ。) で、鍍金の奴が飛びつくと、 (べらぼうめ、いくら山手だってこう....
「活人形」より 著者:泉鏡花
様、さてはその筋の。と敬えば、銀平したり顔に打頷き、「応、僕は横須賀の探偵だ。」
遁げると見せかけ八蔵は遠くも走らず取って返し、裏手へ廻って墓所に入り、下枝が臥し....