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「遁世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遁世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
た。 「ああ、世の中がうるそうなった。わしもお暇《いとま》を願うて、いっそ出家|遁世《とんせい》しようか」と、忠通はまた溜息をついた。 「御出家……」と、玉藻は....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
を掠めて、不埓の所業仕候段|慚愧に堪えず候間、重なるわが罪|悔悟のしるしに、出家遁世仏門に帰依致し候条、何とぞ御憐憫を以て、家名家督その他の御計らい、御寛大の御....
後記にかえて〔『教祖の文学』〕」より 著者:坂口安吾
るが、然し彼は、琵琶法師や遊吟詩人となって一生を終ろうとする茶気はなく、さしずめ遁世して兼好法師となるところが、僕と大いに違っているのだろうと考える。 似て、....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
チェリオ、たべたくないお料理もとりよせる、涙溜息あるのみでして、禁酒を叫び、出家遁世の心ざし、朝ごとに発狂してゐるやうなものでさ、養命保身どころぢやないです。ホ....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
とを探求し、また鎌倉の政治の実情を観察した。彼の犀利の眼光はこのときすでに禅宗の遁世と、浄土の俗悪との弊を見ぬき、 鎌倉の権力政治の害毒を洞察していた。二十一歳....
織田信長」より 著者:坂口安吾
か。一皮めくれば、人間は、たゞ、死のうは一定。それだけのことではないか。 出家遁世者の最後の哲理は、信長の身に即していた。しかし、出家遁世はせぬ。戦争に浮身を....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
、どこへ行っても、こうなんですよ。で、皆さんのお気持を尊重していたぶんには、出家遁世あるのみですから、時々こうして、歓迎せられざる訪問もしなければならないのです....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
ことのできないのが人間なのではあるまいか。 それは人間を嫌ったツモリで山の奥へ遁世したところで断ちきることのできない性質のものである。自分とのあらゆる現実的な....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
である。 その出発の日は暴風雨の警報がでていた。なみの旅行とちがって、半分出家遁世のような出発であるから、浮世の警報などは気にかからない。家をでる時はまだ雨も....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
★ 正午の勢揃いまでには間があったが、虎之介は持てるものの心のゆたかさ、出家遁世なぞというさもしい気持にはなれないから、十時ごろには腰に午の握り飯をぶらさげ....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
日本征服というような狂躁にみちた狂い咲きとなって現れたり、坊主でもないくせに出家遁世の志となって現れたり、突如としてサビや幽玄からフランケンシュタインの心境へ移....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
」式では人生花も実もない。造った物はこわれる。人間は死ぬ。色即是空。これじゃ出家遁世する以外に手がない。 「与太郎じゃねえか。大きくなったな。いくつになった?」....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
つれづれ草の作者になりゃれ。」 「わたくしが徒然草を書きまするには、武士を罷めて遁世せねばなりませぬ。」と、采女は笑った。 「遁世もよかろう。」と、姫も笑った。....
遍路」より 著者:斎藤茂吉
面白いじゃないですか」 「いまいましいなんていいましたね」 「いまいましくても、遁世の実行家だね。あれだけの生活は加特利教徒の労働者なんかでは出来ないよ」 「強....
奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
五日条)に、彼の言として、「弓馬の事は在俗の当初憖に家風を伝ふと雖、保延三年八月遁世之時、秀郷朝臣以来九代嫡家相承の兵法焼失す」とあるによって明かで、しかも同書....