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遅々
「遅々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遅々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
こに萌すのである。地上の人類が、もう少し這間の事情に通ぜぬ限り、文化の発達は到底
遅々たるを免れない。 どう考えても、現代の社会政策、国家政策には廃棄を要するも....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
点火せず。当夜一時十五分ごろより、日輪の上端の地平線上に放光するを見る。これより
遅々として昇るに、その全面の海上に現出するまでに、およそ三、四十分間を要せり。と....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
飲物を幾度となく追加注文しながら日の暮れるのを待った。厚い鼠色の曇り空を通して、
遅々たる陽あしを感じてはひとり苛々した。 やがてのこと、俯観しているT市のあっ....
「大脳手術」より 著者:海野十三
はなかろうか。 私は家へ戻って、ひたすらにその手紙の到着するのを待った。時間は
遅々として、なかなか捗らなかった。私は縁側に出て日向ぼっこをしながら、郵便配達員....
「街頭」より 著者:岡本かの子
の夜だ。高いオペラの空気窓から「タイスの」唄が炭酸|瓦斯にまみれて浮き出ている。
遅々たる行列の進みが百貨店の外の入口まで届くと黒服の店員に管理されて人数の一くぎ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
金魚を仕立て上げてしまえば、それを親魚にして、仔に仔を産ませ、それから先はたとえ
遅々たりとも一歩の美をわが金魚に進むれば、一歩のわれの勝利であり、その勝利の美魚....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
、物語の中の不思議な魂魄のように想われ、美しくあやしく眺めた。 かの女の眼病は
遅々として癒えながら、桜が咲いて散って行っても、まだ癒えなかった。青年は殆ど連夜....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
いるところである。 新進気鋭の演劇研究者の眼から観たらば、わが劇壇の進歩は実に
遅々たるもので、実際歯がゆいに相違ない。しかし公平に観たところを云えば、成程それ....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
「もう今に蛙が出て来るだろう。」 こういっていると、果して何処からか青い動物が
遅々と這い出して来る。彼は悠然として滝の下にうずくまる。そうして、楓の葉を通して....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るので、若い者のひとりが見えがくれにそのあとを尾けると、かれは浅草の方角に向って
遅々とたどって行った。しかしどこまで行っても際限がないので、こっちもしまいに根負....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ように見えた。 富山の友人から貰ったトムと云う大きな西洋犬が、主人|父子の後を
遅々と躡いて行った。 長くもない町を行き尽して、やがて駅尽頭の角に来ると、冬を....
「書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
にかゝわらず、粗製濫造も仕方のないことになるのです。 一方、人生の精神文化は、
遅々として向上せず、大衆の趣味、理想は、依然として低くあるかぎり、たま/\良書が....
「天を怖れよ」より 著者:小川未明
、且つ道義的のものではないでしょうか。 たとえば、屠殺場へ引かれて行く、歩みの
遅々として進まない牛を見た時、或は多年酷使に堪え、もはや老齢役に立たなくなった、....
「文章を作る人々の根本用意」より 著者:小川未明
見えることさえ多い。これを冷静に批評し得るほどの観察力観照力は、長い月日の間に、
遅々として獲得するよりほかに方法はない。 こゝに初めて読書に直接即するよりも、....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
んな場合にいつも先人を争う髯将軍はいかにせしぞと後《のち》に聴けば、将軍、剛力の
遅々《ぐずぐず》が癪《しゃく》に触って堪らず、暫時《しばし》叱※《しった》督励し....