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遅速
「遅速〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遅速の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
手で発声蓄音機を組立ててみたいというのが氏の野心だった。映画用のフィルムの運動の
遅速によって蓄音機の方の速度が調節されるようにするのがあたり前だと渡瀬は考えた。....
「上高地風景保護論」より 著者:小島烏水
ることは、言うまでもない。 山岳は登山地点の便不便によって、世に著われることの
遅速があり、かつ人間との交渉を多少にすることを免かれがたい、欧洲アルプスのマタア....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
であるから、当にならないものである。
で、北から中央、それから南と及ぼして雪の
遅速が解る。そうして多くは、その前年または前々年と比べても、同一山において、十日....
「槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
うは無いと言うことだ、ここから上りにかかると、いい加減に疲労れ初めた一行は、足の
遅速に従って、離ればなれになる、私は短気な性分だから、むやみに路を貪って、先にな....
「芝刈り」より 著者:寺田寅彦
がやっと終わった。結果はあまり体裁のいいほうではなかった。刈り手の個性と刈り時の
遅速とが芝生の上に不規則なまだらを描いていた。休まず働いている自然の手がその痕跡....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
が、霞みながら一条煙のように、ぼっと黄昏れて行く。 弥生の末から、ちっとずつの
遅速はあっても、花は一時に咲くので、その一ならびの塀の内に、桃、紅梅、椿も桜も、....
「随筆難」より 著者:寺田寅彦
申上ぐる次第に御座候 敬具」 なるほど、物理学では速度の大小というのが正当で、
遅速をいうならば運動の
遅速とでもいわなければ穏当でないかと思われる。それでもしこ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
に、かくよめりと見るとも難有べからず。草木は気運により、例にたがひ、土地により、
遅速有こと常のことなり」とあり、考にも、「此幸は十月なれど遠江はよに暖かにて十月....
「水の女」より 著者:折口信夫
とは考えられる。鎮花祭については、別に言うおりもあろう。ただ、木の花の散ることの
遅速によって、稲の花および稔りの前兆と考え、できるだけ躊躇わせようとしたのが、意....
「夏の小半日」より 著者:寺田寅彦
時にまたはがれて浜へ打ち上げられる時でも、細かいのと大きいのでは水に運ばれるのに
遅速があって、いつでも選り分けられるような傾きがあるでしょう。 海岸では晴れた....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
億円ほどになるという。 樹木と遺伝 樅などの種子を播いてその生長の
遅速を試験してみると、低い土地から取って来た種子の方が高地から取ったのに比してよ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
老先生は赤くなって、 「じゃあ、あなたの選歌を発表して御覧なさい」 「私のは、
遅速も汝をこそ待ため向つ峰の椎の小枝の相は違わじ 逢い曳きの時十分遅れると、も....
「音楽界の迷信」より 著者:兼常清佐
私はピアノの音について、もう少し他の事をお話して見よう。 C 音の
遅速 ピアノを弾く人は、ピアノの音が鍵盤を叩いた瞬間よりもいくらか遅れて出ると....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
どにあやかるため、その一枚を選んで借りて、ひそかに持帰る事を許されている。ただし
遅速はおいて、複写して、夫人の御人々御中に返したてまつるべき事は言うまでもなかろ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
存を遂げて行くところのこの大切な生命の流れは、その原動力なる心の流れと呼吸血流の
遅速によって非常の影響を受けるのです。 人間の生命の流れを、水の流れに譬えるな....