過ぐ[語句情報] »
過ぐ
「過ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
過ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
は何かパセティックな夢でも見ているような思いをさせた。
葉子はそうしたままで、
過ぐる二日の間暇にまかせて思い続けた自分の過去を夢のように繰り返していた。連絡の....
「或る女」より 著者:有島武郎
いたくない。そんないらいらしい反抗的な心持ちさえその場合起こらずにはいなかった。
過ぐる十日というもの一度も見舞う事をせずにいて、今さらその由々《ゆゆ》しげな顔つ....
「外科室」より 著者:泉鏡花
ね》伯爵夫人の手術をば予をして見せしむることを余儀なくしたり。 その日午前九時
過ぐるころ家を出《い》でて病院に腕車《わんしゃ》を飛ばしつ。直ちに外科室の方《か....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
事に就いても種々の方面から考えて惨害の感じは深くなるばかりである。 疲労の度が
過ぐればかえって熟睡を得られない。夜中幾度も目を覚す。僅かな睡眠の中にも必ず夢を....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
振るわないのだ。しかし表面にぎやかではないが、おとよさんとおはまの心では、時間の
過ぐるも覚えないくらいにぎやかな思いでいるのである。 省作はもちろんおとよさん....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
は飛ぶ 谷へ谷へ 雪をかぶりし杉の柱 暗き緑の色 その奥は光も暗し スキーはとく
過ぐれど 思いはのこる 夢幻の森 見よ今は スキーの下に ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
らしい、こんな事はしないが好い。――実は、お伽堂の女房の手紙が糸七に届いたのは、
過ぐること二月ばかり、お京さんと、野土青鱗(あおだいしょうめ)画伯と、結婚式の済....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
先んじられて紅梅の花|揺ぐよう。黒目勝の清しやかに、美しくすなおな眉の、濃きにや
過ぐると煙ったのは、五日月に青柳の影やや深き趣あり。浦子というは二十七。 豪商....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
えかし。 明治三十五年寅壬三月 一 「島野か。」 午少し
過ぐる頃、富山県知事なにがしの君が、四十物町の邸の門で、活溌に若い声で呼んだ。 ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
義をしてる所をも見た。 十二月二十九日にパリを立ち、郊外のフォンテン・ブローを
過ぐる際、折りしも森林は一面に結晶した白い氷で被われて、非常な美観の実験をなし、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、容体、虫が好かなくって大嫌い。もっともそれでなくっても、上野の山下かけて車坂を
過ぐる時※ば、三島神社を右へ曲るのが、赤蜻蛉と斉しく本能の天使の翼である。根岸へ....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
つ。籠をば糸つけて肩に懸け、袷短に草履|穿きたり。かくてわれ庵を出でしは、午の時
過ぐる比なりき。 麓に遠き市人は東雲よりするもあり。まだ夜明けざるに来るあり。....
「西航日録」より 著者:井上円了
とともに大急激国なり。その性質急激にして諸事に敏速なる利あるも、また度量の狭隘に
過ぐるの失あり。もし、日本人の気質七匁にシナ人の気質三匁を調合しきたらば、必ず東....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ろこそすめらみくになのである。) ときどき雲煙前路を遮るために、汽笛を鳴らして
過ぐ。潮流、暖を送り来たる。午時、一声の雷あり。腰折れ二、三首、左に録す。 海原....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
うのみ。眼に入るものは、二三の漁火の星の如く、遠くちらつくと、稀に、銚子行汽船の
過ぐるに当り、船燈長く波面に揺き、金蛇の隠現する如きを見るのみにして、樹林無く、....