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過ごす
「過ごす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
過ごすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
しひしと骨身にしみる寂しさ……私の躯はだんだん衰弱してまいりました。 幾月かを
過ごす中に、敵の監視もだんだん薄らぎましたので、私は三崎の港から遠くもない、諸磯....
「或る女」より 著者:有島武郎
分けがつくほどの距離に進みよっていたので、さすがに葉子もそれを見て見ぬふりでやり
過ごす事は得《え》しなかった。涙をぬぐいきると、左手をあげて髪のほつれをしなをし....
「或る女」より 著者:有島武郎
…こんな純粋な愛情の中に取り囲まれて、落ち着いた、しとやかな、そして安穏な一生を
過ごすのも、葉子は望ましいと思わないではなかった。ことに婆やと定子とを目の前に置....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
らしい自然への肉迫を表現した言葉だ。言葉の中にしみ渡ったこの力は、軽く対象を見て
過ごす微温な心の、まねにも生み出し得ない調子を持った言葉だ。 「だれも気もつかず....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
前たちと母上と私とは海岸の砂丘に行って日向《ひなた》ぼっこをして楽しく二三時間を
過ごすまでになった。
どういう積りで運命がそんな小康を私たちに与えたのかそれは....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
、しかしそれを体験する人々は案外それほどの激変と思わず、この空前絶後の大変動期を
過ごすことは、過去の革命時代と大差ないのではなかろうか。 最終戦争によって世界....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
打ち消して、 「とんでもないことです。そりゃ東京では針仕事のできる人なら身一つを
過ごすくらいはまことに気安いには相違ないですが、あなたは身分ということを考えねば....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
い二人は、なかなか差向いでそんな話は出来なかった。しばらくは無言でぼんやり時間を
過ごすうちに、一列の雁《がん》が二人を促すかの様に空近く鳴いて通る。 ようやく....
「一老人」より 著者:犬田卯
釣りに行くところなどを、時々私も望見した。 二 村に百姓をして一生を
過ごすものの夢想することも出来ないような安楽な老後を送っている爺様がどうして発狂....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
とだった。それでなくてさえ日光に恵まれないこの地方である。半歳を雪の下に埋もれて
過ごす耕地のことで、ただ一本のひょろひょろ松のかげでも、直ちにその秋の収穫に影響....
「随想」より 著者:上村松園
のいいのをよく見取りもさせて貰った。ほんとうに楽しんで面白く、和気靄々裡に一日を
過ごすといった風の会だった。時代の変化でそうした親睦さは今ではちょっと出来にくか....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
、辞みやらんとは思へどもさすがに打付けにさいはんも何となく気の毒にてそのままに打
過ごす、余はかほどまで果断なき乎、歎ずべき事の第一なり、」と。また曰く、「書肆某....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
あそこを通りかかったが、どうにも身体が思うようにならず、そこでしばらく時間をやり
過ごすことにして、ふらふらと足を踏みこんだのがあの公園。亭のあるところまで行きつ....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
五分間を観測と記録に費すと、故障の突発しないかぎり、あとの五十五分間というものを
過ごすのに、はなはだ退屈を感ずるのだった。 「この調子で、暁け方まで頑張るのは、....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
た。ラジウムも適当なる時間を限って患部に当てれば、吃驚するほど治癒が早いが、度を
過ごすと飛んだことになるのだった。 「おい一九九四号、出てこい」 「はア。――」....