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過去
「過去〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
過去の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
たしたちの祖先に従わなければ、わたしたちは不幸に陥《おちい》らなければならぬ。「
過去の業《ごう》」という言葉はこういう不幸を比喩《ひゆ》的に説明するために用いら....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
転身だった。本の中の人物に変ることだった。彼は天竺《てんじく》の仏のように無数の
過去生を通り抜けた。イヴァン・カラマゾフを、ハムレットを、公爵アンドレエを、ドン....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
りふれた家庭的悲劇を眺めていた、――と云うよりも寧《むし》ろ享楽していた。彼女の
過去は暗いものだった。彼女は病家の主人だの病院の医者だのとの関係上、何度一塊の青....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
させられたわけである。
ここまで考えた時に、彼はそれと同じような出来事を、近い
過去の記憶に発見した。それは去年の春、彼のところへ弟子《でし》入りをしたいと言っ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
つか子爵の懐古的な詠歎《えいたん》に釣りこまれて、出来るなら今にも子爵と二人で、
過去の霧の中に隠れている「一等|煉瓦《レンガ》」の繁華な市街へ、馬車を駆りたいと....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
来ないかも知れない。が、やがては我々の事業が、断定を与うべき問題である。君はその
過去の海辺から、静かに我々を見てい給え。たとい君は同じ屏風の、犬を曳《ひ》いた甲....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
》からすみや海鼠腸《このわた》が、小綺麗な皿小鉢を並べていた。
そう云う時には
過去の生活が、とかくお蓮の頭の中に、はっきり浮んで来勝ちだった。彼女はあの賑やか....
「校正後に」より 著者:芥川竜之介
。(以上新思潮第九号)
○夏目先生の逝去《せいきょ》ほど惜しいものはない。先生は
過去において、十二分に仕事をされた人である。が、先生の逝去ほど惜しいものはない。....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
も赦《ゆる》したかった。
「もし私がここで助かったら、私はどんな事をしても、この
過去を償《つぐの》うのだが。」
彼は泣きながら、心の底でこう呟いた。が、限りな....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
を歩いていたり、原稿用紙に向っていたり、電車に乗っていたりする間《あいだ》にふと
過去の一情景を鮮《あざや》かに思い浮べることがある。それは従来の経験によると、た....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
からである。
わたしは歴史を翻えす度に、遊就館を想《おも》うことを禁じ得ない。
過去の廊下には薄暗い中にさまざまの正義が陳列してある。青竜刀に似ているのは儒教《....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
の間《ま》にか手ずれの痕《あと》さえ煤《すす》けていた。のみならずまた争われない
過去の匂《におい》を放っていた。たね子は細い膝の上にそれ等の本を開いたまま、どう....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
息は、杳《よう》としてわからない。
「さまよえる猶太人」とは如何なるものか、彼は
過去において、如何なる歴史を持っているか、こう云う点に関しては、如上《にょじょう....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
解してくれるし、よしんば悪い所を出しても同情してくれそうな心もちがする。又実際、
過去の記憶に照して見ても、そうでなかった事は一度もない。唯、この弟たるべき自分が....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
力でなくなる時が来れば、それこそ江口がほんとうの江口になり切った時だ。 江口は
過去に於て屡弁難攻撃の筆を弄した。その為に善くも悪くも、いろいろな誤解を受けてい....