道化者[語句情報] » 道化者

「道化者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

道化者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
は用のない行人だった。いや、寧《むし》ろ顔を見る度に揶揄《やゆ》せずにはいられぬ道化者だった。それは操行点六点の彼には当然の態度に違いなかった。彼は中学から高等....
人間失格」より 著者:太宰治
しかし、ただ一夜でした。朝、眼が覚めて、はね起き、自分はもとの軽薄な、装えるお道化者になっていました。弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我をするんです....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
共に完全無欠な者ばかりでしたから、いぶかしく思っていると、そのときまたくま使いの道化者が、見物人の拍手に調子づいたもののごとく、とんきょうに口上を言いたてました....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
気たことではあるまいか。二重の欺瞞に魅せられて憤恨を蹴散らすとすれば、彼は本当の道化者と何らの変りもないではないか。 「道化者!」 彼は、誰かが囁《ささや》い....
空想日録」より 著者:寺田寅彦
その素材をこねてあまり上できでもない品物をひねり出す陶工のほうははなはだつまらぬ道化者の役割のようにも思われて来るのである。 そうかと言って陶器の需要のない所....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
テーブルを股の中に抱き込んで、しかも雀の涙ほどのウォツカの杯を見つめながら、この道化者の気狂いじみた興奮を猫脊に微笑んでいるのだった。そして彼にはそういう怪物み....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
名が暗示することよ! 光る鎧と粋な巻毛の鬘と、巨大なひげと絹のマントと、股引きと道化者と先の尖った靴と! エレン・ケイが死んでから二年になる。 二日がけで西....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
い一瞬間だけにもせよ、思いこんでしまったのであろう。その実、相手は性根のよくない道化者にすぎなかった。なおそのうえに痛快なのは、駆け落ちという非常手段を取ったこ....
母の上京」より 著者:坂口安吾
棲み、切に下品なるものを憎むが、あらゆる人を常に許してゐるのである。それは畸形な道化者の姿であつたが、又、何人がその品格を笑ひ得ようか。 然し、夏川は、ねむれ....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
込みはないからである。 ★ 巷談師というものは、所詮高座の道化者で、オナグサミに一席弁じているにすぎないのである。天下国家を啓蒙しようとい....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
したが、 「まずご免、あやまります。少しく悪ふざけが過ぎましたようで。が、拙者は道化者なので、こういうことも大好きでござる。と云うこういう事というのは、突然に深....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
うにしたが、「そんなたいした道草の種なら、済みませんなんて謝罪りはしません。ただ道化者に逢っただけで」 「道化者? ふうん、どんな道化にさ?」やはりお粂は不安ら....
ピエロ伝道者」より 著者:坂口安吾
それは芸術でない、ファースであると嘲笑されることを欣快とし給え。しかしひねくれた道化者になり給うな。寄席芸人の卑屈さを学び給うな。わずかな衒学をふりかざして、「....
革命の研究」より 著者:大杉栄
きかの問題の代弁者となることをあえてしなかった。 そしてさらにまた最後に、ある道化者にとっては、その理想は、公爵夫人等やその腰元どもの首を熱心に要求した――そ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
胃袋だなあ。驚いた。」と、頓狂な、金魚|眼をひんむいて、また「ひゃあ。」と叫んだ道化者がいる。 見ると、大きな大きな木釜のどれもが、にちゃにちゃと、まるで口の....