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「遠さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遠さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
つ》な、眼に滲《し》むごとき葱の※《におい》が実際田中君の鼻を打った。 「御待ち遠さま。」 憐むべき田中君は、世にも情無《なさけな》い眼つきをして、まるで別人....
二つの道」より 著者:有島武郎
相失うほどの間隔となり、分岐点に立って見渡すとも、交叉点のありやなしやが危まれる遠さとなる。初めのうちは青い道を行ってもすぐ赤い道に衝当《つきあ》たるし、赤い道....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
耳の底で、天の高さ、地の厚さを、あらん限り、深く、遥に、星の座も、竜宮の燈も同一遠さ、と思う辺、黄金の鈴を振るごとく、ただ一声、コロリン、と琴が響いた。 はっ....
春昼」より 著者:泉鏡花
真正面から前後三頭一列に並んで、たらたら下りをゆたゆたと来るのであった。 「お待遠さまでごぜえます。」 「はあ、お邪魔さまな。」 「御免なせえまし。」 と三人....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
瀬 ああ。 お蔦 私は……こっちよ。 早瀬 おお早かったな。 お蔦 いいえ、お待遠さま。……私、何だか、案じられて気が急いて、貴方、ちょっと顔を見せて頂戴(背け....
「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
させたくないのだ。 こんな風に説明すると、芸術に対するわたしのこの小説の距離の遠さがよくわかる。そうして今もなお小説という名前を頂戴し、いっそ有難いことには集....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
いたり読書に親んだりするとさも働きのない低能者であるかのように軽蔑されあるいは敬遠される。二葉亭ばかりが志を得られなかったのではない。パデレフスキーも日本に生れ....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
たのだろう。…… そんなことを考えているうちに、看経は終った。 「さあ、お待ち遠さまでした」と秀蓮尼は座を立って「では、いよいよ貴方を逃がす工夫に取り懸りまし....
火星兵団」より 著者:海野十三
ているし、かなりおびただしい植物が茂っていることさえわかっている。また地球からの遠さも、他の星に比べると、まあ近い方である。こういう諸点から考えて、火星は一番い....
三人の双生児」より 著者:海野十三
いえと云いつけて、すぐさま真一の待っている離れの間へ引返した。 「真さま、お待ち遠さま」 重い扉をあけて、中へ入ったが、どうしたものか真一は返事をしなかった。....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
とうわしから時限爆弾のことを聞き出し居った。ここな、卑劣漢め!」 「いや、お待ち遠さまでございました。只今倉庫中を調べましたところ……」 「なにをなにを、その手....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
対して非常に厳格であった。それでそのために坑夫達からは恐れられ、幹部連中からは敬遠されがちであった。が、しかし殺されるなぞと云うような変に個人的な、切羽詰った恨....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
づけだった。ハハハ……」 私は、そうした旅空で旧友相会した時の、なにか人生の深遠さの偲ばれるようなこころ愉しさを思いやりながら、窓外へ目を移した。雪はなお降り....
食魔」より 著者:岡本かの子
見透されまいと、嵩にかかって人に立向う癖が彼についてしまっている。それはやがて敬遠される基と彼は知りながら自分でどうしようもなかった。彼は寂しく自宅へ近付いて行....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
くないんです」 かの女は、自分がすでに感じていることを今更云い出されるような迂遠さを感じた。しかし、長幼老若の区別や、有名無名の体裁を離れて、実際の力の上から....