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遠吠
「遠吠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠吠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
意を喰《くら》って倒れんばかりによろけた佐藤は、跡も見ずに耳を押えながら、猛獣の
遠吠《とおぼえ》を聞いた兎《うさぎ》のように、前に行く二、三人の方に一目散にかけ....
「星座」より 著者:有島武郎
んでいた。
農学校の大時計が一時をうち、二時をうち、三時をうった。遠い遠い所で
遠吠えをする犬があった。そのころになって園の部屋の灯は消えた。
気づかれのした....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
通じて、別の世界に相通ずるものあるがごとくならずや。夜半の寝覚に、あるいは現に、
遠吠の犬の声もフト途絶ゆる時、都大路の空行くごとき、遥かなる女の、ものとも知らず....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
する極端なる非文章論を主張し、かつて紅葉から文壇の野獣視されて、君の文章論は狼の
遠吠だと罵られた事があるくらい、文章上のアナーキストであったから、文章論では二葉....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
暗い空からは何ひとつの光りも見えないのです。そうして、あたりの静かなことは、犬の
遠吠え一つきこえず、なんの生き物の音もせず、まるで人気がないように感じられたそう....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
が、しかしこんなにおそいのははじめてだった。深くは気にかけなかったが、しかし犬の
遠吠をきいていると、戸外の寒さが想いやられた。安二郎がけちだから、ほんのちょっぴ....
「放浪」より 著者:織田作之助
夜だった。下寺町から生国魂神社への坂道は人通りもなく、登って行く高下駄の音、犬の
遠吠え……そんな夜更けの町の寂しさに、ふと郷愁を感じ、兄よ、わりゃ死んだナ。振舞....
「放浪」より 著者:織田作之助
夜だった。下寺町から生国魂神社への坂道は人通りもなく、登って行く高下駄の音、犬の
遠吠え……そんな夜更けの町の寂しさに、ふと郷愁を感じ、兄よ、わりゃ死んだナ。振舞....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
は寝た方がよい。ああせめてよい夢でも。……」 枕にはついたが眠れない。 犬の
遠吠え、夜烏の啼く音、ギーギーと櫓を漕ぐ音。……隅田川を上るのでもあろう。 寂....
「梟雄」より 著者:坂口安吾
て天下の精強をうたわれている彼の部下は充実しつつあるばかりだ。 信秀が負け犬の
遠吠えのように美濃の城下を遠まきに野荒しをやって逃げたのも笑止であるが、腹が立た....
「心霊殺人事件」より 著者:坂口安吾
警官が座についている。 糸子が電燈を消してきた。 「オーウ」 という八十松の
遠吠え。警官の隊長が代りをつとめたらしくポータブルが鳴りだした。それからは先夜そ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
まってしばし物音というものがない。やがていずこからか、ウォー、ウォー、という狼の
遠吠のようなものがかすかにひびいてきた。と、ミコの姿が一様にグラグラゆれだす。ミ....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
らいでは仕様がない。お前たちも知っての通り、段九郎の山犬は狼の一族だ。あの山犬の
遠吠えをきくと、村や町の飼い犬は小屋へ隠れてふるえているということだ。今年は四年....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
御直参たりとも容赦ござらぬぞッ」 「吠えるな、吠えるな。そのように口やかましゅう
遠吠えするものではない。揃いも揃うてよくよく物覚えの悪い者達よ喃。この一札こそは....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
荷ァりさん、え、いなァりさん――」の声なるべし。 もしそれこの合の手として犬の
遠吠えを加うれば、冬の情景ここにつくされて、限りなき淋しさを味うことが出来る。 ....