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「遠方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遠方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
笑いながら、洞穴《ほらあな》の前まで迎えに出て、 「これは、これは、髪長彦さん。遠方御苦労でございました。まあ、こっちへおはいりなさい。碌《ろく》なものはありま....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
鼻眼鏡をかけたので、殊にそう云う感じを深くさせた。着ているのは黒の背広であるが、遠方から一見した所でも、決して上等な洋服ではないらしい。――その老紳士が、本間さ....
或る女」より 著者:有島武郎
豊かな光線が廊下のほうに流れて来た。そこで葉子は岡のほうに始めて振り返った。 「遠方をわざわざ御苦労さま。わたしはまだあなたに肌《はだ》を御覧に入れるほどの莫連....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
わりて答えぬ。轆轤首は愛相よく、 「おおおお、それはまあ遠い所へ」 「はい、ちと遠方でございますと言いなよ。これ、長松、ここがの、金沢の兼六園といって、百万石の....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
述があって、それからこの詩人は次のように続けている。 澄めるエーテル、そは明るき遠方に 重量なくまた地にあるごとき限界を知らず 昇りたり――エーテルに今は星も輝....
女客」より 著者:泉鏡花
いはい、これはまあ、御丁寧な、御挨拶痛み入りますこと。お勝手からこちらまで、随分遠方でござんすからねえ。」 「憚り様ね。」 「ちっとも憚り様なことはありやしませ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
の一幕を見果てないうちは、足を返すまいと思っていた。 声々に、可哀に、寂しく、遠方を幽に、――そして幽冥の界を暗から闇へ捜廻ると言った、厄年十九の娘の名は、お....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
四十 「…………」 「私……しばらくお別れに来たんです。」 「……旅行――遠方へ。」 「いいえ。」 糸七は釈然として、胸で解けた。 「ああ、極りましたか....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
行場の所在地は山の中腹の平坦地で、崖の上に立って眺めますと、立木の隙間からずっと遠方が眼に入り、なかなかの絶景でございます。どこにも平野らしい所はなく、見渡すか....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
ばかり、守護の天使とても、境涯の懸隔は、これを如何ともするに由なく、ただ空しく、遠方から淪落の痴漢の暗き行末を、あわれみの眼もて見送るより外に、せん術がないので....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いことでした。さもないと、じぶんにしても、他人のわたしたちにしても、始末のわるい遠方までとんでいってしまうところでした。さて、学生は旅行の途中です。スウィスのま....
旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ごの実をおいたようにみえました。もうなん里もなん里もさきの、ついいったことのない遠方までがみはらせました。――このすばらしい世界に、こんなにもいろいろとうつくし....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
であり、また一つには不意にあの跡とり娘に捨てられたのが無念だったからである。彼は遠方に住居を変えて、学校で教えるかたわら法律を勉強し、弁護士になり、政治家に転じ....
親ごころ」より 著者:秋田滋
たりに迫っていた。夕靄が烟るように野末にたち罩め、ものの輪廓が、ほの暗い、はるか遠方にあるように見えた。道ばたに三本立っている見あげるような樅の木までが、まるで....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
々に水溜、これには昼の月も映りそうに秋の空は澄切って、赤蜻蛉が一ツ行き二ツ行き、遠方に小さく、釣をする人のうしろに、ちらちらと帆が見えて海から吹通しの風|颯と、....