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「遣る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遣るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
いたね。勿論五年級にゃ佳いのが居ると云ったっけが、」 「じゃあその教頭、媒酌人も遣るんだな。」 と舌尖三分で切附けたが、一向に感じないで、 「遣るさ。そのかわ....
海異記」より 著者:泉鏡花
店で買って来たんで、旨そうだから、しょこなめたい。たった一ツだな。みんな嫁さんに遣るんだぜ。」 とくるりと、はり板に並んで向をかえ、縁側に手を支いて、納戸の方....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
ろう。一番上りのものには、瑪瑙の莢に、紅宝玉の実を装った、あの造りものの吉祥果を遣る。絵は直ぐに間に合ぬ。この室を五十三に割って双六の目に合せて、一人ずつ身体を....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
魔法で、私たちは、誘い込まれたんじゃないんでしょうかね。」 「大丈夫、いなかでは遣る事さ。ものなりのいいように、生れ生れ茄子のまじないだよ。」 「でも、畑のまた....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
画工さんの、この癖を認めないものはなかろう。ちょいと内証で、人に知らせないように遣る、この早業は、しかしながら、礼拝と、愛撫と、謙譲と、しかも自恃をかね、色を沈....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
樽|賭けまいか、飲むことは銘々が勝手次第、勝負の上から代銭を払えば可い、面白い、遣るべいじゃ。 煙管の吸口ででも結構に樽へ穴を開ける徒が、大びらに呑口切って、....
海の使者」より 著者:泉鏡花
今度は両手に両側の蘆を取って、ぶら下るようにして、橋の片端を拍子に掛けて、トンと遣る、キイと鳴る、トントン、きりりと鳴く。 (きりりりり、 きり、から、きい、....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
色うつくしき、肌理細かなる婦人である。 「銭ではないよ、みんな裸になれば一反ずつ遣る。」 価を問われた時、杢若が蜘蛛の巣を指して、そう言ったからであった。 ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
名も、すぐ分るだろう、というので、誰に見せる気だか薄化粧って。」 「白粉を?……遣るだろう!」 「すぼめ口に紅をつけて「ほほほ景気はどうかね。」とお伽堂へ一人で....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
るのじゃないよ。お前は可哀い眼付をして居る。お前の鼻梁も中々美しいよ。可哀がって遣るから、もっと此方へおいで」といった。 レリヤはこういって顔を振り上げた。犬....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
説き得て可しと思える状して、 「叔母さんは、その婆を、妖物か何ぞのように大騒ぎを遣るけれど、気味の悪い、厭な感じ。」 感じ、と声に力を入れて、 「感じというと....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
箪や橋弁慶なぞを飴でこしらえて、買いに来たものは籤を引かせて、当ったものにそれを遣るというので、私などもよく買いに行ったものだが、いつも詰らない飴細工ばかり引き....
我が宗教観」より 著者:淡島寒月
国の智識を得たように、宗教そのものよりも、それに依って外人の趣味に接しようとして遣るのです。かくして私はクリスチャンだったが、今日ではこういう意味で、どんな宗教....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
は菊枝とお縫とが居ない振でかつぐのだと思うから、笑い出すか、噴き出すか、くすくす遣るか、叱るかと、ニヤニヤ独で笑いながら、耳を澄したけれども沙汰がない、時計の音....
活人形」より 著者:泉鏡花
い。となおそこここを見廻せしが、何者をか見たりけむ。わっと叫ぶに泰助も驚きて、見遣る座敷の入口に、煙のごとき物体あって、朦朧として漂えり。あれはと認むる隙も無く....