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遺る
「遺る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遺るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運命」より 著者:幸田露伴
に、其身を終ることは之有るべし、寒山子の如くに、蕭散閑曠、塵表に逍遙して、其身を
遺るゝを得可きや否や、疑う可き也。※龍高位に在りは建文帝をいう。山霊蔵するを容さ....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
必要とするであろう。それで最も目立つ色彩をしていながら無事に敵の襲撃を免れて生き
遺ることのできるような優秀な個体のみが自然淘汰の篩にかけられて選り残され、そうし....
「画室の言葉」より 著者:藤島武二
銘を伝えるもののみが後世に遺ってゆく。盲千人ということをいうが、その間をくぐって
遺る価値あるもののみが遺ってゆく。これこそは実に誰もが何ともすることのできない、....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
頭に些の隙も無いけれど、よしこれとても些との間の辛抱。頓て浮世の隙が明いて、筐に
遺る新聞の数行に、我軍死傷少なく、負傷者何名、志願兵イワーノフ戦死。いや、名前も....
「南路」より 著者:宮本百合子
ただろう。 電信取扱所の、高いカウンターの上に両腕を置き、今度は、こちらに独り
遺る良人のために Dervish, New York という略号を選んだとき、私....
「シナーニ書店のベンチ」より 著者:宮本百合子
一九二八年は、クニッペルの上に重いであろう。ヤルタは彼女の手にある合わせ鏡の裡に
遺る名だ。人生は絶えず前方へ! すべてに拘らず、前方へ!〔一九二八年六月〕....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
り/\とお辰の姿、やれまてと手を伸して裙捉えんとするを、果敢なや、幻の空に消えて
遺るは恨許り、爰にせめては其|面影現に止めんと思いたち、亀屋の亭主に心|添られた....
「対話」より 著者:宮本百合子
何に醜悪な罪証も寛大な焔が押し包んで焼き消して呉れる。(とまあ唆かすのだ。)心に
遺る罪証の陰気な溜息を恐れない為には、雄々しい仲間をどんと殖して並ばせる。――だ....
「新女大学」より 著者:福沢諭吉
、偕老果して偕老ならずして夫の早く世を去ることあり。斯《かか》る不幸に際して跡に
遺る婦人の年齢が四十五十にも達して、加うるに子供の数も多からんには、寡を守りて家....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
が」 帰って行ったお錦のことが、妙に気になってならなかった。で、三味線を掻いて
遺ると彼は急いで立ち上った。 「お花お花」と小間使を呼び「ちょっと私は出てくるか....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
菌類標本も蒐集して研究の基礎を築いた。今はこれらの書籍、標本はみな遺愛品となって
遺るに至ったが、遺族の方はこれを日本科学博物館に献納したと聞いた。私は斯学のため....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
なども出て来ます。その中に皮革関係者は穢多となり、河原者の名は後世もっぱら役者に
遺る様になりました。この沿革も詳しく申さば余程込み入ったものですが、今は問題のあ....
「来り人の地位と職業」より 著者:喜田貞吉
かし非人でもなく、エタでもなく、さりとて普通民でもなく、中途半端のままで永く後に
遺るというのは、彼らが通例の場合に於いて与えられた運命であった。かくて維新後にま....
「「特殊部落」と云う名称について」より 著者:喜田貞吉
して、始めてその障壁は取り除かるべきである。この障壁をさえ除く事が出来たならば、
遺るところは彼らの多数が社会の進歩から後れているの現状のみである。彼らにして自覚....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
しょう。ここはお互いの諒解によって、円満に解決さるべきはずのものではありますが、
遺るところは事実上いわゆる部落の人々が、かつて後進部落の名をもって呼ばれたほどに....