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遺失
「遺失〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遺失の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
高が入っていたのである。書類は請取《うけとり》の類。薄い帳面もあり、名刺もある。
遺失《おと》した人は四谷区何町何番地|日向某《ひなたなにがし》とて穀物の問屋《と....
「出世」より 著者:菊池寛
の風呂敷包は見出されなかった。 「電気局へ明日あたり行ってごらんなさい。電車内へ
遺失したものは、一度は必ずあちらへ集まりますから」と前《ぜん》のと違った車掌が、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
正直そうな人間であった。その申し立てには嘘はないらしく見えた。しかしこの時代でも
遺失物は拾いどくという訳ではない。一応は自身番にとどけ出るのが天下《てんが》の法....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。 「女学校の教師をして、媒妁をいたしましたり……それよりか、拾人の無い、社会の
遺失物を内へ入れます方が、同じ不都合でも、罪は浅かろうと存じまして。それも決して....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
筆は、園長を館の入口で絞めあげるときに落ちたもので、それを後に何かの事情があって
遺失品として届けたものであろう。 しかし今横に並んで歩いている西郷副園長が、こ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
に御苦労だが、又廻りの刻限が来たから往ってもらわなければならん、昼間お客来で又た
遺失物でもあるといかんから、仁助私が一人で見廻ろう、雪がちらちらと来たようだから....
「火星兵団」より 著者:海野十三
は何だろうかと、さかんに議論をやったらしい。
「ねえ、課長。それは、火星の化物の
遺失物ですよ」
とつぜん、大きな声でどなった者がある。それは、いつも元気のいい....
「連環記」より 著者:幸田露伴
とあれば、女の主人は無論参朝に逼って居て、朋友の融通を仰いだのであろうし、それを
遺失したというのでは、おろかさは云うまでも無いし、其の困惑さも亦言うまでも無いが....
「計略二重戦」より 著者:甲賀三郎
に警視庁へ届けたさ。それで、君達が血眼になって探している秘密書類は、今は警視庁の
遺失物係りの所に、ちゃんと保管されているんだ。つまらない商品見本の入った鞄として....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
視詰めて、夫人は、 「…………」ものも得いわぬのである。 「ああ、剰銭と一所に
遺失したんだ。叔母さんどの辺?」 と気早に向き返って行こうとする。 「お待ちな....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
い張っていた。煙管は重太郎の所持品に相違なかったが、それはすすきのなかに忍ぶ時に
遺失したもので、ほかには何の子細もないといった。しかし尼の行動に対するかれらの申....
「泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
、一盃にならねえじゃねえか。交番で取っちまうだろう」 「もちろんさ、一年たっても
遺失主が現われなければ、おいらのところへ下げ渡されるけれどその間は警察へ預け放し....
「玉振時計の秘密」より 著者:小酒井不木
掛かりを残さぬように注意しなければならぬと考えました。自分の所有品を死骸のそばに
遺失してきたり、あるいは先方の器物の上に指紋を残してきたりして、難なく逮捕される....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
を更め難いことは、我も人も熟く承知している所である。この大切な品がどんな手落で、
遺失粗相などがあるまいものでもないという迷信を生じた。先ず先生から受取った原稿は....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
相撃って、戛然として響くかと、伸びつ、縮みつする。が、娘はあえて、過って、これを
遺失したものとして、手に取ろうとするのではない。 目白がまたチイと鳴いて、ひッ....