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遺棄
「遺棄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遺棄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「闇の絵巻」より 著者:梶井基次郎
るものではない。あるときは岬の港町へゆく自動車に乗って、わざと薄暮の峠へ私自身を
遺棄された。深い溪谷が闇のなかへ沈むのを見た。夜が更けて来るにしたがって黒い山々....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
それは私の疲労が知っている。私は腑甲斐《ふがい》ない一人の私を、人里離れた山中へ
遺棄してしまったことに、気味のいい嘲笑を感じていた。 樫鳥《かけす》が何度も身....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
しこれを見たら何んな事になったろうと思った。と同時に、彼は自分が昨夜犯した屍体|
遺棄罪から、完全に救われた様な気軽さも覚えて、もう二度とお由の不気味な屍体を見る....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
き和服と二重まわしが脱ぎ捨てられてあったが、その外に何のため使用したか長い麻縄が
遺棄されてあった。其の他に持ちものはない。屍体は即日解剖に附せられたが、この男の....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
の一件です。もしも首飾を盗った犯人が野口を殺害したものとすれば、何故犯人は首飾を
遺棄したか? もし又首飾を盗った者を被害者自身とすれば、殺人の動機はどこにあるか....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ら、徐州、臨城、袞州へと退却をつゞけた。宿州の激戦に依る負傷兵は、その儘、戦場に
遺棄された。のみならず、前線から手足まといとなってついてきた他の負傷者達も、そこ....
「前哨」より 著者:黒島伝治
。そして、脇の下や、のど笛をねらってとびかゝった。浜田はそれまで、たび/\戦場に
遺棄された支那兵が、蒙古犬に喰われているのを目撃してきていた。それは、原始時代を....
「琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
男の方は年齢四十歳位で、余程格闘したらしい形跡がある。鋭利な刃物――それは現場に
遺棄せられた皮|剥き用の小形庖丁に相違なかった。――で左肺を只一突にやられている....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
殺人ではなし」と、警部は考えながら、「相続税の脱税と、身分詐称かね、それから屍体
遺棄――屍体
遺棄といえるかなア、別荘の中へ置いたんだから」 「許可がなくて、屍体....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
のあるところでいささかの火をかけ、土中に埋めた。仮りの埋葬も済んだ。樋橋には敵の
遺棄した兵糧や弁当もあったので、それで一同はわずかに空腹をしのいだ。激しい饑え。....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
いたか。 彼は、安東が心臓を盗まれて後、はじめて安東に近づいた人物であり、且つ
遺棄された被害者を初めて発見した人物であるというところから、心臓盗難事件の主役で....
「チチハルまで」より 著者:黒島伝治
え湯をあびせられた蟻のように支那兵は到るところに群をなして倒れていた。大砲や銃は
遺棄され、脚を撃たれた馬はわめいていた。和田はその中にロシア兵がいるかと思って気....
「「マリー・ロオジェ事件」の研究」より 著者:小酒井不木
のことに疑いがあるということを言っといたが、こんな犯罪の証拠が、偶然にある場所に
遺棄してあるということは、殆んど有り得ないことのように思われるね。……僕の今言っ....
「殺人迷路」より 著者:甲賀三郎
殺したのは、やはり星田だったのだ。彼は居合した京子の妹女優真弓を威かして、死体の
遺棄を手伝わしたのだ。 津村に反して、村井は勢いを得ながら、 「じゃ、我々を博....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
んに犯罪意志の無かったことは十分に認める。情状酌量すべきものが十分ある。併し死体
遺棄罪として一応は検事局へ……それから、西谷は、市立精神病院の岡埜博士の御手元へ....