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還り
「還り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
還りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
んげ》するような心持で、努めて心を押し鎮《しず》めて、いつもどおりの静かな言葉に
還りながら言いだした。
「話が途切《とぎ》れましたが、……僕は今学校の鐘の音に聞....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
ん》呉を破りて帰るではありません、デンマーク人は戦いに敗れて家に還ってきました。
還りきたれば国は荒れ、財は尽き、見るものとして悲憤失望の種ならざるはなしでありま....
「富士」より 著者:岡本かの子
色、本陀理《ほだり》に入れたにいしぼりの高い匂いが、自分に絶望しかけて凡欲の心に
還りつつある翁の眼や鼻から餓えた腸にかぐわしく染みた。 翁はから火を見ながらか....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
。言ってごらんなさいな。あたし聴いてあげますよ」 すると雛妓は殆ど生娘の様子に
還り、もじもじしていたが、 「奥さんにお目にかかってから、また、いろいろな雑誌の....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
山城に通ずる街道との交叉の要地である。 四月|晦日、大野治房等は樫井の敗戦から
還り、大阪で軍議をした。後藤基次先ず国分の狭隘を扼し大和路より来る東軍を要撃する....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
陽も上るに及んで、愈々合戦の開かれんとする時、幸村は一子大助を呼んで、「汝は城に
還りて、君が御生害を見届け後果つべし」と言った。が、大助は「そのことは譜代の近習....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、伊邪奈岐命語りたまはく、愛しき我那邇妹命、吾汝と作れりし国未だ作り竟らず、故れ
還りたまふべしと。伊邪奈美命答へ白したまはく悔しきかも速く来まさずして、吾は黄泉....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
国でたとえは煩かしい。……おお、五十三次と承ります、東海道を十度ずつ、三百度、往
還りを繰返して、三千度いたしますほどでございましょう。 美女 ええ、そんなに。 ....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
落ちる。形ばかりの竹を縄搦げにした欄干もついた、それも膝までは高くないのが、往き
還り何時もぐらぐらと動く。橋杭ももう痩せて――潮入りの小川の、なだらかにのんびり....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
ひたひたと地を刻んで、袴の裾を忙しそう。二人三人、世話人が、列の柵|摺れに往きつ
還りつ、時々顔を合わせて、二人|囁く、直ぐに別れてまた一人、別な世話人とちょっと....
「死者の書」より 著者:折口信夫
の太宰府からの音ずれが、久しく絶えたと思っていたら、都とは目と鼻の難波に、いつか
還り住んで、遥かに筑紫の政を聴いていた帥の殿であった。其父君から遣された家の子が....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
調子を合わせる。中には若い媚めかしい声が交って、化粧した婦も居た。 境も、往き
還り奥の見晴しに通って、縁から峠に手を翳す、馴染の茶店があったのであるが、この度....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ことを。かくて、よき事のみ汝の上にあらんことを。願わくは、汝いよいよ健やかにして
還り、わが歓びを大ならしめよ」もう一つ、ロバアト・セシルからの手紙があって、友情....
「狐」より 著者:岡本かの子
らにしても、とつおいつのお慕わしさ、恋しさが募れば化狐より本性の女ごころのうぶに
還り、いっそこの上は真実この身の正体をと……。 ――どうしたと。 ――わたくしは....
「古事記」より 著者:太安万侶
た。しかしあなた樣《さま》がわざわざおいで下さつたのですから、何《なん》とかして
還りたいと思います。黄泉《よみ》の國の神樣に相談をして參りましよう。その間わたく....