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「郷愁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

郷愁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手紙」より 著者:芥川竜之介
寂しさを少しも不足には思っていません。しかしK君やS君は時々「我等の都会に対する郷愁」と云うものを感じています。M子さん親子も、――M子さん親子の場合は複雑です....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
魚のような形で、南の方に棚引き出すと、時江はその方角から、ふと遣瀬《やるせ》ない郷愁を感じて、心が暗く沈んでしまうのだった。また朽樹の洞《ほら》の蛞蝓《なめくじ....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
も、始めは他の船員達と同じ気持だったんでしょうが、段々日を経るにつれて、心の中に郷愁が芽生える。しかし船長は、危険を覚えて、絶対に妻子のところへ帰さない。が、盛....
河明り」より 著者:岡本かの子
せられているようでもある。馬来人や支那人が働いている。 「僕等は正規の計劃の外、郷愁が起る毎に、この土に護謨の苗木を、特に一列一列植えるのです。妄念を深く土中に....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
王蛇が横行する密林でぬけぬけ生きられるわけはない。また、故郷のジャングルをしたう郷愁といったものも、ドドには気振りにさえもみえないのだ。 郷愁を感じない、野生....
歯車」より 著者:芥川竜之介
のは実は庭の枯芝や池だったことを発見した。けれども僕の錯覚はいつか僕の家に対する郷愁に近いものを呼び起していた。 僕は九時にでもなり次第、或雑誌社へ電話をかけ....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
しでも文子のいる東京へ近づきたいという気持にせきたてられたのと、一つには放浪への郷愁でした。 そう言えば、たしかに私の放浪は生れたとたんにもう始まっていました....
」より 著者:織田作之助
を築港まで歩いて行き、黄昏れる大阪湾を眺めて、夕陽を浴びて港を出て行く汽船にふと郷愁を感じたり、訳もなく海に毒づいたりした。 ある日、港の桟橋で、ヒーヒー泣き....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
やがて、末起にも訪れるものが来た。童女期から、大人へ移ろうとする境界に立って、郷愁のような遣る瀬なさ、あまい昏惑のなかでも、末起はときめくようなこともない。 ....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
てしまったのです。 所が、日本に連れて来られてからと云うものは、日増し私には、郷愁が募って参りました。あの濃碧の海、同じ色のような空――街中はひっそり閑として....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
の。だけど、あたいのお国の日本なら虐められないだろうね」 こんな、頑是ない子が郷愁をおぼえる哀れさ。それは、やはりキューネも同じことである。オジチャンも、どれ....
余齢初旅」より 著者:上村松園
のだと思うと、やはり沸々とした心楽しさがあるように思える。エンジンの響きが絶えず郷愁のようなものを私の身体に伝えて来る。 「陸が見えますよ」 と、言う声は本当....
中支遊記」より 著者:上村松園
だと思うと、やはり沸々とした心楽しさがあるように思われる。船特有のひびきは絶えず郷愁のようなものを身体に伝えて来る。 「陸が見えますよ」 と、いう声は本当にな....
常に自然は語る」より 著者:小川未明
見、その下に横わる曠野を想い、流るゝ河を眼に描き、さらに生活する人々を考える時、郷愁豊かなる民謡の自ら念頭に浮ぶを覚える。永遠に、人は、土を慕い、自由を求めてや....
」より 著者:織田作之助
ちゃと自分を甘やかしている方が気が利いていた。夕陽を浴びて港を出て行く汽船にふと郷愁を感じたり、訳もなく海に向って毒づいている方がふさわしいと思った。少年はいつ....