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鄙
「鄙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鄙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ないか。――手紙はこういう文句ではじまって、先輩として後輩を食客に置かないのは、
鄙吝《ひりん》のなすところだという攻撃で、わずかに局を結んでいる。馬琴は腹が立っ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
杏落葉《いちょうおちば》の山の出来る二昔前《ふたむかしまえ》の回向院である。妙に
鄙《ひな》びた当時の景色――江戸と云うよりも江戸のはずれの本所《ほんじょ》と云う....
「或る女」より 著者:有島武郎
鶴館《そうかくかん》の周囲とは全く違った、同じ東京の内とは思われないような静かな
鄙《ひな》びた自然の姿が葉子の目の前には見渡された。まだ晴れきらない狭霧《さぎり....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
雛――女夫雛は言うもさらなり。桜雛、柳雛、花菜の雛、桃の花雛、白と緋と、紫の色の菫雛。
鄙には、つくし、鼓草の雛。相合傘の春雨雛。小波軽く袖で漕ぐ浅妻船の調の雛。五人囃....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
当家の料理人にございますが、至って不束でございまして。……それに、かような山家辺
鄙で、一向お口に合いますものもございませんで。」 「とんでもないこと。」 「つき....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
下りるものはなかった――私の居た側の、出入り口の窓へ、五ツ六ツ、土地のものらしい
鄙めいた男女の顔が押累って室を覗いた。 累りあふれて、ひょこひょこと瓜の転がる....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
「何ですか、この辺には、あわれな、寂しい、物語がありそうな処ですね。あの、月宵
鄙物語というのがあります、御存じでしょうけれど。」 「いいえ。」 「それはね、月....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
かな飾附の、呼鈴、巻莨入、灰皿、額縁などが洩れて見える――あたかもその前にわざと
鄙めいた誂で。 日車は莟を持っていまだ咲かず、牡丹は既に散果てたが、姫芥子の真....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
うという、寝台の上。ますます妙なのは蚤の憂更になし。 地方と言っても、さまで辺
鄙な処ではないから、望めばある、寝台の真上の天井には、瓦斯が窓越の森に映って、薄....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
二人の間にたった一人の娘がありました。母親が大へん縹緻よしなので、娘もそれに似て
鄙に稀なる美人、又才気もはじけて居り、婦女の道一と通りは申分なく仕込まれて居りま....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
。自動書記は一八八〇年まで連続的に現れたが、その中に気軽な冗談とか、洒落とか、野
鄙な文句とか、頓珍漢な理窟とか、嘘や出鱈目とかは、私の知れる限りに於て、全然痕跡....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
しまない。それは、大ニューヨーク州の奥深く、あちらこちらにあるオランダ人の住む辺
鄙な渓谷のなかにあり、ここでは人口も風俗習慣もかわらないのだ。休むことを知らない....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ウムばやりだった頃、憑ものがしたように賑ったのだそうですが、汽車に遠い山入りの辺
鄙で、特に和倉の有名なのがある国です。近ごろでは、まあ精々在方の人たちの遊び場所....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
はそれは勿体ないほど、ざくざくお宝をお運びで、嬢さんがまたばらばら撒く。土地が辺
鄙で食物こそだが、おめしものや何か、縮緬がお不断着で、秋のはじめに新しいコオトが....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
で、地方の書信の机上に堆積せるもの幾百通なるを知らずといえども、そのうち昨今、都
鄙の別なく、上下ともに喋々するものは狐狗狸の一怪事なり。中等以下のものは、そのな....