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配る
「配る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
配るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ばい》したけはいが感じられました。また実際お島婆さんが、二人の間の電話にさえ気を
配るようになったとすると、勿論泰さんとお敏とが秘密の手紙をやりとりしているにも、....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
とよはもう待つ人のくる刻限と思うので、しばしば洗濯の手を止めては枝折戸の外へ気を
配る。洗濯の音は必ず外まで聞えるはずであるから、省作がそこまでくれば躊躇するわけ....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
で相良十吉は何を思い出したのか、ブルブルと身体をうちふるわせ、じっとあたりに気を
配るようであったが、「一人の方が、現にこの東京に帰ってきているのを、この私が見た....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
していた。其処此処の熱灰の中からは折々余燼がチラ/\と焔を上げて、彼地此所に眼を
配る消火夫の水に濡れると忽ち白い煙を渦立たして噴き出した。満目唯惨憺として猛火の....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
査法と来たら、非常にまどろっこしい。彼は臆病に近いほど、あらゆる事物に対して気を
配る。その気の配り方も、警部ならちらりと一目見ただけで事件に関係があるかないかが....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
投げかけた。 「そうは思わないよ。黙っていたまえ君は……。おう、進君、やがて水を
配る時間だ。第四の樽を開けて置いて呉れたまえ」 進少年は、通信機のそばを離れて....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
りそうな処を、もどかしがって、 「へい、お待遠様で。」と急いで、渋団扇で三人へ皆
配る。 「早いんだい、まだだよ。」 と差配になったのが地声で甲走った。が、それ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
した己の店の、草鞋の下を潜って入った。 草履を土間に脱いで、一渡店の売物に目を
配ると、真中に釣した古いブリキの笠の洋燈は暗いが、駄菓子にも飴にも、鼠は着かなか....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
と分れたのが、小上りの、畦を横に切れて入った。 「坊主らしいな。……提灯の蝋燭を
配るのかと思ったが。」 俗ではあったが、うしろつきに、欣七郎がそう云った。 ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
したりしていた。やがて、その勝負は終わった。シェカリンスキイは骨牌を切って、再び
配る準備をした。 「どうぞ私にも一枚くださいませんか」と、ヘルマンは勝負をしてい....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
見えるような薄い影をとどめているのみであった。 わたしは今、テーブルの上に眼を
配ると、テーブル――それにはクロスもカヴァーもない、マホガニーの木で作られた円い....
「蟹満寺縁起」より 著者:岡本綺堂
(鐘の音つづいてきこゆ。娘は思わず母にすがる。嫗は娘を抱きよせて、あたりに眼を
配る。翁は入口の門をしかとしめて錠をおろす。) 翁 こうして置けば大丈夫だ。いや....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
五ツ目の冠木門の前に立った。 「そこです、」と、背後から声を懸けたのは、二度目を
配る夕景の牛乳屋の若者で、言い棄てると共に一軒置いて隣邸へ入った。惟うにこの横町....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
社員の解職は一片の葉書の通告で済まし、遠いタダの知人には頗る慇懃な自筆の長手紙を
配るという処に沼南の政治家的面目が仄見える心地がする。 沼南の五十年の政治家生....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
んで来た。 「兎も角も降りて見よう。」 巡査は斯う決心して、再び四辺に鋭い眼を
配ると、岩角に結び付けられたる彼の長い毛綱を見出した。これを手繰ったら、市郎の身....