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酒臭い
「酒臭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
酒臭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
然《ごうぜん》と斜《ななめ》に伝吉へ肩を示した。その拍子《ひょうし》にふと伝吉は
酒臭い浄観の息を感じた。と同時に昔の怒のむらむらと心に燃え上るのを感じた。それは....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
雨が降っても、風が吹いても、川一つ隔てた藪や林は、心細い響を立て易かった。お蓮は
酒臭い夜着《よぎ》の襟に、冷たい頬《ほお》を埋《うず》めながら、じっとその響に聞....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ふらつく足を踏みしめて、しばらく沈吟《ちんぎん》していたが、やがて俊助の鼻の先へ
酒臭い顔を持って来ると、
「君は僕がどうしてあの晩、国府津《こうづ》なんぞへ行っ....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
。――それが、まだ一番鶏《いちばんどり》も鳴かないのに、こっそり床をぬけ出して、
酒臭い唇《くちびる》に、一切衆生《いっさいしゅじょう》皆成仏道《かいじょうぶつど....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
云って寝台は、勿論皆売切れている。本間さんはしばらく、腰の広さ十|囲《い》に余る
酒臭い陸軍将校と、眠りながら歯ぎしりをするどこかの令夫人との間にはさまって、出来....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
どう云う訣《わけ》か、急に噛《か》みつきそうな権幕《けんまく》を見せた。そうして
酒臭い相手の顔へ、悪辣《あくらつ》な返答を抛《ほう》りつけた。
「莫迦野郎《ばか....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
も二三本空にしました。そうして日がとっぷり暮れると同時に、またそこを飛び出して、
酒臭い息を吐きながら、夏外套の袖を後へ刎《は》ねて、押しかけたのはお敏の所――あ....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
中には喧嘩でも売りそうな生酔いもあった。生酔いの一人は綾衣の前に立ちふさがって、
酒臭い息をふきながら穴の明くようにじっとその顔を覗き込んだ。こんな人も珍らしくな....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
さい。あたし、今夜はどうしてもお前さんに逢いたくって、逢いたくって……」 その
酒臭い息と、もつれた舌とで、女がひどく酔っているのを林之助は早くも覚った。なまじ....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
白けきった淋しさは、永くは続かなかった。 全く不意の出来事であったが、いままで
酒臭い溜息をもらしながら、ボンヤリ人々の顔を見廻していた砲手の未亡人が、突然ジャ....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
ンかい。」 兵隊あがりらしい、面つきやからだは逞ましいが、そしていつも葡萄酒の
酒臭い息を吐いているが、案外人の好さそうな看守が、よほど注意して聞いていないと分....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
らりと来て、朦朧と映ったが、近づくと、こっちの息だか婦の肌の香だか、芬とにおって
酒臭い。 「酔ってますね、ほほほ。」 蓮葉に笑った、婦の方から。――これが挨拶....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ために他室へ遠慮したというんじゃない。小児の奴がまた生意気に、私がちと飲過すと、
酒臭い、と云って一つ蚊帳を嫌います。いや、大に台所の内諭なきにしもあらずだろうが....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
かに走り始めた。 美和子は、姉の肩に身をすりつけて、 「ねえ、楽しいわ。」と、
酒臭い溜息をした。 「楽しいもないわ。そんなになって醜態だわ。明日からお店へ来る....
「山吹」より 著者:泉鏡花
ぞはや可厭であろうと思いますで、遠くへお離し申しておきます。担いで帰ります節も、
酒臭い息が掛ろうかと、口に手拭を噛みます仕誼で。……美しいお女中様は、爺の目に、....