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「酷しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

酷しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
母子叙情」より 著者:岡本かの子
。何と云っても一番人を融かすところのものは、彼の詩人的素質です。この素質が、彼の酷しいリアリズムを神秘にまで高めます。彼は今前衛画派の花形のうちで一番年少であり....
」より 著者:島崎藤村
。 短い夏の夜が明けると、最早立秋という日が来た。生家に居るお雪からは手紙で、酷しい暑さの見舞を書いて寄した。別に二人の姪へ宛てて、留守中のことはくれぐれも宜....
S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
うじて同乗を承知させたものであった。一つにはその記者の感情を害すると、どこかで手酷しい報復をされる事を、一同が恐れているせいでもあったろう。 S岬に到着する迄....
斬られたさに」より 著者:夢野久作
りやれ。チト話があるでな」 と云う中に何かしらニコニコしながら道具を解いた。手酷しい稽古を附けてもらった平馬は息を切らして平伏した。これも大喜びで居残って一柳....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
す、いつも御機嫌よろしゅう、此の節は日中は大層いきれて凌ぎ兼ねます、今年のような酷しい事はございません、何うも暑中より酷しいようでございます」 國「源助どん、お....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
依志子 (宥むるごとく寄り縋り)気を鎮めて下さいまし妙念様。(手を取りて)こんな酷しい血を流して、まあ青すじまでが、みみずのように。ほんとにどのような苦しい思い....
神棚」より 著者:豊島与志雄
ではなくて、平素は可なり冷淡だっただけに、猶更仕事が悪かった。 「こいつあ少し手酷しいや。母の生きたお化《ばけ》だ!」 そんな風に俺は考えることもあった。然し....
」より 著者:豊島与志雄
人にはただで許してやるわ。だけど、あなた方なんかには御免だわ。」 「こいつはお手酷しいね。まあそう云わないで、どうだい僕に一つ。」 「僕にも一つ。」 「俺にも一....
文学への実感について」より 著者:豊島与志雄
がら読んではいない。そのうちで、いろいろの原因から来る作品の質の低下と相俟って、酷しい現実を紛らすための娯楽偸安の具として作品を読む多数者のことは、茲では取上げ....
自由人」より 著者:豊島与志雄
どもの子供たちなど、あなたのことを、ペンキ屋さんなんて……。」 「いやどうも、手酷しいですね。然しそれも一面の真理で、私はその評語に甘んじていますよ。」 「いい....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
といえば何処かへ立ち退く算段……天候は悪く、びしょびしょ雨で、春というのに寒さは酷しい。師匠の家では、万一を気遣い、日本橋|小舟町の金屋善蔵というのへ、妻君と子....
マルクス主義と唯物論」より 著者:三木清
う主張ではないのである。マルクスはこのような快楽主義的、功利主義的思想に対して手酷しい攻撃を加えており、それについてはつねに侮蔑と憎悪とをもって語っている。 ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
なたのことを大変気に掛けていられる。娘を亡くして気を落としたりしたあげく、残暑の酷しい中の野天で、強い仕事をしたりして暮らしていてはさぞ大変なことだろう。それに....
真珠塔の秘密」より 著者:甲賀三郎
一 長い陰気な梅雨が漸く明けた頃、そこにはもう酷しい暑さが待ち設けて居て、流石都大路も暫くは人通りの杜絶える真昼の静けさから、....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
し、冷汗が噴き出る。 いつかはなくなるはずのものが、ないのである。その寂寥感は酷しいが、恐怖はない。が、なくなるはずのものが、あるのである。私の恐怖はこの存在....