»
醜さ
「醜さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
醜さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
育ちかたをした彼には少しも興味を与えなかった。それは自然の美しさよりも寧ろ自然の
醜さを目のあたりに見せるばかりだった。けれども本所の町々はたとい自然には乏しかっ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
のかかりと云い、汗ばんだ顔の化粧《けしょう》と云い、一つとしてあの女の心と体との
醜さを示していないものはない。もしそれまでの己があの女を愛していたとしたら、その....
「或る女」より 著者:有島武郎
うな反目と衝突とが続いたのだった。葉子の性格はこの暗闘のお陰で曲折のおもしろさと
醜さとを加えた。しかしなんといっても母は母だった。正面からは葉子のする事なす事に....
「或る女」より 著者:有島武郎
自分のからだがよごれていて、この三四日湯にはいらない事を思い出すと、死んだあとの
醜さを恐れてそのまま家に取って返した。そして妹たちだけがはいったままになっている....
「富士」より 著者:岡本かの子
からさき何度も死ぬような思いをするのはまだしものこと、女の身として、一度々々あの
醜さになるのを自分の眼でまざまざと見なければならないということは、考えてもぞっと....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の高原にたち……風や雷にきざまれた鋸《のこぎり》状の尾根を背にしたケティは、あの
醜さを消し神々《こうごう》しいまでに照り映える。と急に、彼女をみる男の目もちがっ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
るで内臓の分泌を、その滓《かす》までも絞り抜いてでもしまいそうな、おそらく現実の
醜さとして、それが極端であろうと思われるものがそこにあった。稚市の両手は、ちょう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
尊敬を、そうでなければ一種の憐憫を、搾り取ろうとする自涜も知っている。弱さは真に
醜さだ。それを私はよく知っている。 然し偽善者とは弱いということばかりがその本....
「河明り」より 著者:岡本かの子
うものは、中に入っているのが子供で何も判るまいと思うだけに、女たちはあらゆる女の
醜さをさらけ出して争います。それはずーっといつまでも人間の心に染みついて残ります....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
刻み畳まれた皺が、ひくひくと顔一面に引っ痙れくねってゆくのだった。その妖怪めいた
醜さ――とうていそのような頭蓋骨の下には、平静とか調和とか云うものが、存し得よう....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
っと声を立てて、今まで彼に感じていた敬虔な魅力から醒めると、事実がすべての赤裸な
醜さのうちに暴露された。その客はまだ本当に我にかえらないうちに、もうその唇には微....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
の頂から一雪崩れに落ちて来るようにも見えました。 引挫がれた。 苦痛の顔の、
醜さを隠そうと、裏も表も同じ雪の、厚く、重い、外套の袖を被ると、また青い火の影に....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
差し出された、一つの、煙のような掌を見たからであった。 それは、おそらく現実の
醜さとして、極端であろうと思われる――いわばちょうど、孫の手といったような、先が....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
暗さをおびた品位であろう。 ところが、ヴィデの頸から上には、生理的に消しがたい
醜さが泛んでいた。頬には、刀傷や、異様な赤い筋などで、皺が無数にたたまれているば....
「山吹」より 著者:泉鏡花
置処がありません。――溝川に死ちた鯉の、あの浅ましさを見ますにつけ、死んだ身体の
醜さは、こうなるものと存じましても、やっぱり毒を飲むか、身を投げるか、自殺を覚悟....