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里心
「里心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
里心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「グッド・バイ」より 著者:太宰治
つまらぬ、小さい家を一軒買い、田舎《いなか》から女房子供を呼び寄せて、……という
里心に似たものが、ふいと胸をかすめて通る事が多くなった。 もう、この辺で、闇商....
「家庭の幸福」より 著者:太宰治
いて歩いて、亡父が仙台の某中学校の校長になって三年目に病歿したので、津島は老母の
里心を察し、亡父の遺産のほとんど全部を気前よく投じて、現在のこの武蔵野《むさしの....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
人はすぐめっかりましたからね、出すぎたこととも思いましたが、ちっとばかりあっしも
里心出して、野郎どもにかまをかけてみたんですよ。するてえと――」 「破牢罪人から....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
に嵌めたように見えた。 座敷は熊の皮である。境は、ふと奥山へ棄てられたように、
里心が着いた。 一昨日松本で城を見て、天守に上って、その五層めの朝霜の高層に立....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
の、いかにも睦じすぎる可憐な恋に、いささか退屈男も当てつけられて、ついふらふらと
里心がついたものか、知らぬうちにとうとうふわふわと江戸へ帰り着きました。 江戸....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
老体」 「何じゃな」 「身共にわるい癖が一つござってな」 「なるほど、なるほど。
里心がおつき申したか」 「どう仕って。宿までさせて頂いて、いろいろと御造作に預る....
「嵐」より 著者:島崎藤村
からなかった。ただただ私は、まだ兄たち二人とのなじみも薄く、こころぼそく、とかく
里心を起こしやすくしている新参者の末子がそこに泣いているのを見た。 次郎は妹の....
「爛」より 著者:徳田秋声
井は東京附近の田舎にいる、その女のことを言い出したが、そんな女と往来して、静子に
里心の出るのが、お増自身にも好ましいこととは思えなかった。 「お今ちゃんを、すぐ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
じゃ」 今日は竜之助の言うことが、いつもと変ってしおらしく聞えます。 「ホホ、
里心《さとごころ》がつきましたか」 お浜は軽く笑います。 「どうやら酒の酔《よ....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
ていった。 あとで仲間の艇夫たちは、顔を見合わせ、 「ああはいったが、すこしは
里心がついているのじゃないかな。つまり、この噴行艇がこんど地球に戻るのは十五年後....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
じゃ、が、大丈夫、夢にも、そんな事が、貴女、(と云って晃に向きかえ)私に逢うて、
里心が出て、君がこれなり帰るまいか、という御心配じゃ。 百合 (きまりわるげに、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
引挟んで、ほうと呼吸を一つ長く吐いた。 「世の中にゃ、こんな炭火があると思うと、
里心が付いてなお寒い。堪らねえ。女房さん、銚子をどうかね、ヤケという熱燗にしてお....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
(うまい、ああ旨い、この竹輪は骨がなくて難有い。) 余り旨そうなので、こっちは
里心が着きました。建場々々で飲酒りますから、滅多に持出した事のない仕込の片餉、油....
「露肆」より 著者:泉鏡花
風は蝋燭をはたはたと揺る、遠洋と書いたその目標から、濛々と洋の気が虚空に被さる。
里心が着くかして、寂しく二人ばかり立った客が、あとしざりになって……やがて、はら....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
の当てどなさに、辟易した。 「やつぱり、私は、ともかく、うちへ行かう」 「おや、
里心がつきましたか」 「居所がつきとめられたうへは仕方がないさ。こつちの気持を母....