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野兎
「野兎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野兎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女人訓戒」より 著者:太宰治
ない。家兎は、猟夫を恐怖する筈はない。猟夫を、見たことさえないだろう。山中に住む
野兎ならば、あるいは猟夫の油断ならざる所以《ゆえん》のものを知っていて、之を敬遠....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
タウシャン、梵名|舎々迦《ささか》、独人モレンドルフ説に北京《ペキン》辺で山兎、
野兎また野猫児と呼ぶとあった。吾輩幼時和歌山で小児を睡《ねむ》らせる唄《うた》に....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
した。森の奥から火を消すばかり冷たい風で、大蛇がさっと追ったようで、遁げた私は、
野兎の飛んで落ちるように見えたということでございまして。 とこの趣を――お艶様....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
嵐の進路にあるほどのものは、洗礼を免れることは出来なかった。谷から岩を転ばした。
野兎の群を狩り出した。 そうして仮面の城主の袍を、その体を中心にして、左右前後....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
た。四千坪の大部分は樹木と萱、雑草で、畑は一反足らずです。外遊中は人気がないので
野兎が安心して園に巣をつくりました。此頃ではペン多忙で、滅多に鍬は取りません。少....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
つの眉毛の下で次第次第に大きくなり、寒さで赤らんだ鼻のさきとともに、びっくりした
野兎のような表情になった。 家財をたたんで、五人でここへやって来て、そして、ど....
「日々の映り」より 著者:宮本百合子
眉毛をつり上げるような表情をして、鼻に可愛い縦皺をよせながら笑った。それはどこか
野兎に似た顔つきで、彼女の言葉にのこっている田舎の訛りとともに、乙女を描くなら蕪....
「朝の風」より 著者:宮本百合子
の女で、そうやっていたっていつまでたっても、普通の女としてのこるばっかしだろう。
野兎のおどろいた時のような素朴な美しい感じの顔をしていた乙女が、いつ友達の女たち....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
物を拾い来らしめた。その豕の鼻よく利《き》き、雉《きじ》、熟兎等をよく見付けたが
野兎には利かなんだと。またいわく、野猪は群を成して共同に防禦する。ある人ヴェルモ....
「小公女」より 著者:菊池寛
てたのよ。」 とがめられた少女は、いきなり箒を取り上げ、石炭函を抱えて、怯えた
野兎のようにそそくさと出て行きました。 それを見ると、セエラはむらむらして来ま....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
どもなかなか調っていた。赤帽をかぶった掃除夫が道を掃除して歩いているのに、林中を
野兎が駈けていたりした。 Donaueschingen は、フュルステンベルヒ....
「銀の笛と金の毛皮」より 著者:豊島与志雄
森の中に、どこから出てきたのか、猿《さる》や、狼《おおかみ》や、狐《きつね》や、
野兎《のうさぎ》や、鹿《しか》や、獅子《しし》や、鷹《たか》や、鷲《わし》など、....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ろう? 踏みにじられた無数の草花と、蹄で掘られた無数の小穴と、蹴殺された幾匹かの
野兎と、折られた木の枝と散らされた葉と、崩された沼の岸とであった。 一所から彼....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
を唱えるのですヨ。論より証拠。一つやってみましょう」 そこで一〇一号は、樺色の
野兎の足で、うやうやしく鼻の頭を三度撫で、 「|〔Garc,on〕, Viens....
「琴」より 著者:マクラウドフィオナ
来た。第二の音に、樹々の葉がさやぎを止めた、樹々の枝に静けさが来た。第三の音に、
野兎は跳ぶのを止めた、狐はねむたい目をまたたいた、狼は寝てしまった。第四、第五、....