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「野卑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野卑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ほどもなく、 「え、いよいよ御来迎《ごらいごう》?」 「来たね」 というような野卑な言葉が、ボーイらしい軽薄な調子で声高《こわだか》に取りかわされるのを葉子は....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
かえると、その一団にまじってぱっとかけ出して行った。北山の狂暴な血は一時に引き、野卑な顔はただ狼狽の色に歪んでいた。 九 逃げろ、逃げろという声は、拘置所を脱....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
清元《きよもと》および歌沢《うたざわ》においては四分の三全音にも及ぶことがあり、野卑な端唄《はうた》などにては一全音を越えることがある。また同じ長唄だけについて....
まざあ・ぐうす」より 著者:北原白秋
る。純粋な芸術家の手になったのではなかろう。しかし、それだからといって一概に平俗野卑だというわけにはゆかない。日本の在来の童謡、すなわち私たちが子供のときにいつ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
だ。現在でもこの世に生きているとも云える。現実に住み飽きてしまったり、現実の粗暴野卑に愛憎をつかしたり、あまりに精神の肌質のこまかいため、現実から追い捲くられた....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。いや、そればかりではないのです。貴方の率いている狩猟の一隊が、今日いまここで、野卑な酷薄な本性を現わしたのだ。しかし射手は確か、獲物は動けず……」 「なるほど....
駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
工風でも岡田式の精神修養でも何でも出来そうだが、電車は人間を怯懦にし、煩瑣にし、野卑にし、放肆にする。我々は電車に乗る度毎に礼譲の治外法権を目撃して人間の美性が....
火の扉」より 著者:岸田国士
粛なところがあるように思われます。人間と人間との心のふれあいにそれが見られます。野卑な言葉や、無軌道な行動がむろんそこにはございますけれども、それはたいはいをふ....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
に使うてくれと伝手を求めて頼みこんだ。 五代は丹造のきょときょとした、眼付きの野卑な顔を見て、途端に使わぬ肚をきめたが、八回無駄足を踏ませた挙句、五時間待たせ....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の人たちが彼を見る目には、恐怖と、讃美と、善意とがまじりあっていた。ひどい悪戯や野卑な喧嘩が近所におこると、彼らはいつも頭をふって、ブロム・ボーンズが黒幕だとい....
決闘場」より 著者:岡本かの子
れない。その日は銀行休日であった。ロンドンの恋人達を夢中にさせる日であった。少々野卑ではあったが、耳を叩き破る程の騒音と強烈なウイスキーが市内に居残った人々を無....
三枚続」より 著者:泉鏡花
優美の感を起さしむる、ただしちと四角な顔で、唇は厚く、鼻は扁い、とばかりでは甚だ野卑に、且つ下俗に聞えるけれども、静に聞召せ、色が白い。 これで七難を隠すとい....
法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
って臆面もなくこれを発表せしめたのであった。したがってその筆鋒は辛辣を極め、用語野卑にして文壇の礼義に戻るもの多く、為に甚だしく学界の顰蹙を招くべき事についても....
明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
○この頃より演劇改良の声ようやく高まりて、在来の演劇は荒唐無稽なりといい、猥雑野卑なりというたぐいの議論がしばしば繰返さる。しかも傾聴に価するほどの名論は殆ど....
常に自然は語る」より 著者:小川未明
めの快い調でもあった。故に、喜びがあり、悲しみがあり、慰めがある。そして、狭小、野卑の悪感を催さない。なぜならば、これ、一人の感情ではなかったゝめだ。郷人の意志....