» 野晒

「野晒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野晒の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
いま、その御廚子の前に、わずかに二三畳の破畳の上に居るのである。 さながら野晒の肋骨を組合わせたように、曝れ古びた、正面の閉した格子を透いて、向う峰の明神....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
だッ。度胸をすえてかかって来やがれッ」 彫りも見ごと、啖呵も見事、背いちめんの野晒し彫りに、ぶりぶりと筋肉の波を打たせて、ぐいと大きくあぐらを掻きました。 ....
だだをこねる」より 著者:辻潤
かしくもおかしくもなんともない。おふくろやこどもでもいなかったら、とうにどこかで野晒《のざらし》になってしまっていたに相違ない。もっともその方がよほど気楽かもし....
野ざらし」より 著者:豊島与志雄
野中の十字架のように思われた。雑草の中に一つぽつりと、灰白色の円いものが見えた。野晒しの髑髏だった。その上を冷たい風が掠めていった。彼は堪らなく淋しい気持になっ....
永遠のみどり」より 著者:原民喜
ず誰にも顧みられず、あのように静かに死ねるものなら……彼は散歩の途中、いつまでも野晒《のざら》しになっている小さな死骸を、しみじみと眺《なが》めるのだった。これ....
日記」より 著者:宮本百合子
○ 鎌倉へ行こうとする時、自分は、丁度、豊島さんの「野晒し」をよんで居た。主人公の恐ろしい心持が自分の苦しさを照り返すようで、手先が....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ては桐山へ行ってしまうな」 「おやっ?」 「どうした、蔦王」 「あんなところに、野晒がすててある」 「野晒」 「ええ、人間の」 「捨てたのではなかろう」 数日....
私本太平記」より 著者:吉川英治
りみて悔いはなかった。 みちのく以来の、純で野性な若人たちも、あらましは戦場の野晒と化し去って、残るは少なく、多くは、以後の部下だった。 顕家は、その夜、感....