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「野火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野火の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
た。ことに親佐が仙台支部長として働き出したキリスト教婦人同盟の運動は、その当時|野火《のび》のような勢いで全国に広がり始めた赤十字社の勢力にもおさおさ劣らない程....
たき火」より 著者:国木田独歩
び》かと怪しまるるばかり、明滅し、動揺せり。これまさしく伊豆の山人《やまびと》、野火を放ちしなり。冬の旅人の日暮れて途《みち》遠きを思う時、遥《はる》かに望みて....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
て前方に足をすすめたのである。 そのとき、地峡をとおる蛇を追うために、カークが野火をはなった。その煙りが、娑婆をうつすいちばん最後のものになったのが、隊のなか....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。 「半蔵さま、お早いなし。」 と庄助は言って、その日から向こう三日間、切畑、野火、鉄砲の禁止のお触れの出ていることを近在の百姓たちに告げるため、青の原から杁....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
塔形にすわりがいい。ただ剣ヶ峰の頂のみが、槍のように際立ってとがって見える。雲は野火の煙の低迷する如く、富士の胴中を幅びろに斜断して、残んの月の淡い空に竜巻して....
紅玉」より 著者:泉鏡花
るごとく四辺を※わし、慌しく画の包をひらく、衣兜のマッチを探り、枯草に火を点ず。野火、炎々。絹地に三羽の烏あらわる。 凝視。 彼処に敵あるがごとく、腕を挙げて睥....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、命の御身の上を案じわびて居りましたが、その中四|方から急にめらめらと燃え拡がる野火、やがて見渡す限りはただ一|面の火の海となって了いました。折から猛しい疾風さ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
にもおもえるが、繰返して読めば必ずしもそうでないところがある。つまり恋情と、春の野火との聯想が、ただ軽くつながって居るのでなく、割合に自然に緊密につながっている....
生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
気がつきましたのはこれはまだ新しいことであります。去年の十一月のことであります。野火止という所に平林寺というお寺がありまして、そこに大休という人があります。これ....
岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
げて小姓とした。そうして硯席に侍らせた。 ある夜素晴らしい山火事があった。 「野火山ヲ焼クノ後、人帰レドモ火帰ラズ」 県令は苦心してここまで作った。後を附け....
奥羽地方のシシ踊りと鹿供養」より 著者:喜田貞吉
れて、猪牙の極めて少い事からでも想像せられ、記紀の記するところ、日本武尊の焼津の野火の難における、市辺押磐皇子の来田綿の蚊屋野における、或いは允恭天皇の淡路の御....
火葬と大蔵」より 著者:喜田貞吉
された。無論屍体も焼けてしまった事であったであろう。日本武尊も危うく駿河の焼津の野火で、屍体をまでも焼かれ給うべきところであった。また葛城|円の大臣は、黒彦皇子....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
炎熱前日に異ならず。支配人および平野氏、途中まで送行せらる。午前八時発車。所々に野火を見る。枯れ草を焼くもののごとし。午後六時、サンパウロに着す。上塚、相川両氏....
追放されて」より 著者:神西清
々と滲んでいる。遙か向う岸には、消えかけたり燃え上ったりしながら、蛇のように這う野火がある。これは去年の草を焼くのだ。蛇の向うはまたしても闇である。小さな氷の塊....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
日は既成の観念よりせば国民皆兵制度の徹底であるが、既に世は次の時代である。全国民野火の禍中に入る端緒に入ったのである。 次に来たるべき決戦戦争では作戦目標は軍....