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「野猪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野猪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
森、森から平原、平原から丘。そうして山骨へぶつかった。岩の狭間に眠っていた、若い野猪が眼をさまし、木精を起こして吠えたのが、嵐の最後の名残りであった。 死んだ....
殺神記」より 著者:田中貢太郎
元振は邪神の手を持ったなりに剣を振り冠っていた。 切り取った邪神の手は毛の荒い野猪の腕であった。 朝、元振と女が話していると村の人が来た。村の人は女の死骸を....
惜別」より 著者:太宰治
が、この界隈には飲み屋、蕎麦屋、天ぷら屋、軍鶏料理屋、蒲焼、お汁粉、焼芋、すし、野猪、鹿の肉、牛なべ、牛乳屋、コーヒー屋、東京にあって仙台に無いものは市街鉄道く....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
中の人物のいたずら書きと結びつけたのであった。 それはとにかく、この「山火事と野猪《やちょ》」の詩や、「たぬきの舞踊」の詩には現代の若い都人士などには想像する....
連環記」より 著者:幸田露伴
は三河の守である、式には勿論あずかったのである。ただ其の生贄を献げるというのは、野猪を生けながら神前に引据えて、男共が情も無くおろしたのであった。野猪は鈍物でも....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
る。光一はお堂の前にでた。そこの桜の下に千三が立っている。光一は赫とした。かれは野猪のごとく突進した。 「おい、チビ!」とかれは叫んだ。千三はおどろいて顔をあげ....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
な火焔が煙突の中へぼうぼうと音を立てて燃え上っていた。七面鳥、鵞鳥、猟禽、家禽、野猪肉、獣肉の大腿、仔豚、腸詰の長い巻物、刻肉饅頭、|李入り菓子、牡蠣の樽、赤く....
山の怪」より 著者:田中貢太郎
半兵衛の眼の前を灰毛の大きな体のものが掠めた。谷の下の方の林の中から一疋の大きな野猪が不意に出て来て、半兵衛の鼻端に触るように係蹄の傍へ往った。半兵衛は鉄砲をか....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
四五里の違いで、雪が二三尺も深いのでありまして、冬向は一切|浴客はありませんで、野猪、狼、猿の類、鷺の進、雁九郎などと云う珍客に明け渡して、旅籠屋は泊の町へ引上....
電車と風呂」より 著者:寺田寅彦
いたようでもある。 南向いている豚の尻を鞭でたたけば南へ駆け出し、北向いている野猪をひっぱたけば北へ向いて突進する。同じ鋳掛屋がもしも一風呂浴びてここを通りか....
丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
、ここで村の者が大勢顔色を変えて、大騒ぎしていた。 何事かと側に寄って見ると、野猪が出て畑を荒らしたついでに、荒地まで掘散らして行ったので、そこから女の死骸が....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
文吾が曳手・単節を送って途中で二人を乗せた馬に駈け出されて見失ってしまったり、荒野猪を踏み殺して牙に掛けられた猟師を助けたはイイが、恩を仇の泥棒猟師の女房にコロ....
五重塔」より 著者:幸田露伴
みずから励み、今しも一人の若佼に彫物の画を描きやらんと余念もなしにいしところへ、野猪よりもなお疾く塵土を蹴立てて飛び来し清吉。 忿怒の面火玉のごとくし逆釣った....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
えて参ります。 まあ、お料理人の手元だけはまだ不足がありません。 鹿に氈鹿、兎に野猪、 鶏にしゃも、鶩に鴨、 そう云う生物の貢は本が確で、 まだかなりに這入って....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
それらしい二、三軒が向いあいに、その新聞紙貼りの二階の壁までが露わに見通せたが、野猪のような毛むくじゃらの男の幾人かの顔も、とある廂の下に何だか陽気そうに集って....