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「野猿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野猿の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
。 満目|粛殺《しゅくさつ》の気に充ちて旅のうら寂しさが骨身に徹る。 「あれが野猿の声だ」 主人はにこにこして私に耳を傾けさした。私はまたしてもこういうとこ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
か下まで石階が続いている。それが、盆地の四方に一か所ずつあって、それ以外の場所は野猿にも登れそうもない。しかし、五人のものは、なんの危害もうけなかった。かえって....
十二支考」より 著者:南方熊楠
猴の字を得手と読み居る。かつて熊野川を船で下った時しばしば猴を見たが船人はこれを野猿《やえん》また得手吉《えてきち》と称え決して本名を呼ばなんだ。しかるに『続紀....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
」 「猿! いやあ、猿じゃない、やっぱり人間だろう」 「いえ、猿と申しましても、野猿坊《えてぼう》のことじゃあございません、目明しの猿の文吉て奴で、ずいぶん鳴ら....
丹下左膳」より 著者:林不忘
粗朶《そだ》を刈りに立つ。 食客《いそうろう》の栄三郎は、いつものようにすぐに野猿梯子《やえんばしご》を登って与えられた自室へ。 と言っても頭のつかえる天井....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
山、中の岳、駒ヶ岳、銀山平など、奥上州の裏側に並ぶ越後国南魚沼の山地には、昔から野猿の大群が棲んでいた。ところで、この猿の大群を支配するのは、谷川岳のすぐ西に隣....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
汁つまりたぬき汁である。私は、十数年前上州花咲峠の奥の、武尊山の峭壁に住んでいた野猿を猟師から買い受け、その唇を味噌煮にこしらえて食べたことがあるが、軽い土臭と....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
び出すか知らん。(もっとも、『十方庵遊歴雑記』に向嶋の弘福寺が境内寂寞としてただ野猿の声を聞くという記事があるが、奥山の猿芝居の猿の声ではなさそうだ。)また、こ....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
下の炉ばたに、自分の床を敷き出す。 竜手様は、部屋の隅の、茶箪笥の上へ置いて。野猿梯子《やえんばしご》を上って行く惣平次へ、庄太郎が、またからかい半分に、 「....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
見えたのである。なお慧鶴が気をつけて見ると、走り動いている小塊は悉く動物であって野猿と覚しきもの、山犬と思しきもの、鹿の群と思しきもの、種々雑多である。それが淀....