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野路
「野路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
野路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
日がくれから、そんな声が起りそうに思われる。
こんなことを考えながら半里もある
野路を飽かずにあるいた。なんのかわったところもないこの原のながめが、どうして私の....
「老年」より 著者:芥川竜之介
心にも忘れないのは、その頃盛りだった房さんが、神田祭の晩|肌守《はだまも》りに「
野路《のじ》の村雨《むらさめ》」のゆかたで喉をきかせた時だったと云うが、この頃は....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
の蔭、林の奥にすだく虫の音。空車《からぐるま》荷車の林を廻《めぐ》り、坂を下り、
野路《のじ》を横ぎる響。蹄《ひづめ》で落葉を蹶散《けち》らす音、これは騎兵演習の....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
言い破られて、藻はまた口を結んでしまった。二人は山科《やましな》の方をさして夜の
野路を急いで行った。いったんは男らしく強そうに言ったものの、少年の胸の奥にも三年....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
いたのである。 端唄の題に出されたのも、十年近く以前であるから。見たばかりで、
野路の樹とも垣根の枝とも、誰も気の着いたものはなかったが、初め座の定まった処へ、....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
と照る、蝉がまた啼き出すという始末。急がずば湿れざらましを旅人の、あとより晴るる
野路の村雨――太田道灌よく詠んだとは、まったく此の事であった。近年こんな夕立はめ....
「わが町」より 著者:織田作之助
日は晴れたれど、三日、四日、五日は雨に風、道のあしさに乗る駒も、踏みわずらいて、
野路病い……と、歌いながら、あわてて降り、黒焼屋の前まで来ると、 「次郎ぼん、次....
「賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
きものがある。夜九時頃には既に木の本に着いて居たのである。 さて一方、盛政は大
野路山に旗本を置いて、清水谷庭戸浜に陣を張って賤ヶ岳を囲んで居ったが、桑山修理亮....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
したか、汽車はもう遠くの方で、名物焼蛤の白い煙を、夢のように月下に吐いて、真蒼な
野路を光って通る。…… 「やがてここを立出で辿り行くほどに、旅人の唄うを聞けば、....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
げになった。 絶望が心に涌いたからである。 ここは京都の郊外の、上嵯峨へ通う
野路である。御室の仁和寺は北に見え、妙心寺は東に見えている。
野路を西へ辿ったなら....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
くなって来た。 かれは黙って俯向いて歩いた。供の者共もやはり黙って付いて来た。
野路を越え、田圃みちを過ぎて、もとの四つ辻へ戻って来た時には、そこにもうかの眇目....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
いのを幸いに、何れも町を駈け抜けて、隣村の境まで来て見ると、暗い森、暗い川、暗い
野路、見渡す限り唯真黒な闇に鎖されて、天地|寂寞、半時間前に怖るべき椿事がここに....
「気にいらない鉛筆」より 著者:小川未明
ません。 いまごろ、麦の青々とした圃では、ひばりがさえずっているだろう。また、
野路へゆくと白い野ばらの花が咲いて、ぷんぷん香っていることなどが、しみじみと考え....
「四つの都」より 著者:織田作之助
新聞配達の少年、新吉が石段を登って行く。 「道の悪しさに乗る駒も 踏みわずらいて
野路病」 登って行く新吉の眼に、坂の上の露地で少年達が胴乗り遊び(馬飛びともいう....
「茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
写真が「石見国府址伊甘の池」であるように、茂吉は、昭和九年の七月に、土屋文明と熊
野路に遊んだ帰りに、石見の国に行って、『鴨山考』について調査し、その結論を得たの....