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「野陣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

野陣の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
越えることができた。その辺の五か村は焼き払われていて、人家もない。よんどころなく野陣を張って焼け跡で一夜を明かした。兵糧は不足する、雪中の寒気は堪えがたい。降蔵....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
鰹節と切干――食料は、よく中身を調べて、この次へこうしてお置きなせえ。とりあえず野陣を張る天幕はいいかね、張縄から槌《つち》、落ちはないかね。それからお医者さん....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の内はまるで戦争、帳場の傍にも囲炉裡の際にも我勝で、なかなか足腰も伸びません位、野陣見るようでござりまする。とてもどうもこの上お客の出来る次第ではござりませんの....
三国志」より 著者:吉川英治
ったが、ひとりの物見が来て、ここから十里ほどの先の河べりに、県の吏軍が約五百ほど野陣を張り、われわれを捜索しているらしいという報告をもたらした。で、にわかに、「....
三国志」より 著者:吉川英治
は遠征の疲労と退屈を兆していた。 するとある日。 ひどい狂風がふきまくった。野陣の寄手は、砂塵と狂風に半日苦しんだ。ところが、どうしたことか、中軍に立ってい....
三国志」より 著者:吉川英治
かりだった。 「この城中では眠れない」 遂に孫策もそう云いだした。で――城外に野陣を張り、三万の精兵が帷幕をめぐって警備についた。彼の眠る幕舎の外には、屈強な....
三国志」より 著者:吉川英治
とげたことだった。 しかし壮気さかんな馬超は、 「こうなれば、なおさら、曹操が野陣しているうちに撃破してしまわねば、永久に味方の勝ち目はない」 と、その日の....
三国志」より 著者:吉川英治
城の軍は、百日の籠居を破って出た。 もちろん、夜陰奇襲したのである。案のじょう野陣の寄手はさんざんに混乱して逃げくずれた。面白いほどな大快勝だ。途中、莫大な兵....
三国志」より 著者:吉川英治
され」 使者は辛かった。耳をふさいで逃げたかった。 やがて蕭条たる曠野の中の野陣へ帰ってきて、関羽に、ありのままを告げると、関羽は長嘆久しゅうして、 「ああ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
るお心もあったであろうか。 ほどなく、行宮の宴は罷み、武者たちもみな思い思い、野陣へひきとって、寝しずまった。 そのあとは、暗い浪音だけだったが、いつとはな....
私本太平記」より 著者:吉川英治
が、こう聞いたのは、田所種直や稲井瀬ノ五郎や入道永観らと共に、船上山へむかって、野陣を布いていた陣場のうちだった。 「えっ。能登が生きて?」 清高は、半信半疑....
私本太平記」より 著者:吉川英治
るものではなかった。 「これが都か」 足利軍五千は、当座、二条の河原へかけて、野陣した。 予期に反して、入京早々にもと覚悟していた合戦もなく、張りあいのない....
黒田如水」より 著者:吉川英治
面である。半兵衛の病勢はとみに昂進しているらしく、部下の言に依れば、 「草に臥す野陣の夜などは、夜中しきりにお咳をしておられますし、戦いの間に、血のような唾をそ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
には屹度、恐ろしい大きな岩が掩い被さる様に平地を抱えて、四、五人は楽に泊れる好い野陣場があるものだ。二町許で河原が尽きて、私達は明るい崖の上に導かれた。暑い日が....