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金側
「金側〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金側の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
と思って心配して急いで来たら、まだ三四分ある。あの時計はたしかかしらんと、自分の
金側《きんがわ》を出して、二分ほどちがってると云いながら、おれの傍《そば》へ腰を....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
で、深き光を暗き底に放つ柘榴珠が収めてあった。両蓋に隙間《すきま》なく七子を盛る
金側時計が収めてあった。高蒔絵の上には一巻の書物が載《の》せてある。四隅《よすみ....
「琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
を離れた彼は、更に新橋の方へ歩みを進めて、今度は大きな時計店の前に佇んだ。彼は又
金側時計が欲しいと思った。然し無論買うのではない。それから彼は稍足を早めて、途々....
「家」より 著者:島崎藤村
った」と達雄が言った。 「三吉の方が正直なと見えるテ」とお種も考深い眼付をする。
金側の時計が銀側の時計に変ったということは、三吉にはさ程不思議でもなかった。「正....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
れますからあのままにしておおきになつたら、よろしいでしよう。さてと」
木沢氏は
金側の懐中時計をとり出して、
「お父様も初江さんも大したことはないと思いますから....
「道標」より 著者:宮本百合子
とよせて伸子たちの持ちものの検査と値ぶみをしたのだった。素子に、伸子のモ※ードの
金側腕時計を見せて、
「これ、にせものでしょう」
と云い、素子から、
「にせもの....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
ね。」 「じゃ、もう一度ようぐ考えて。――何時かな?」 権四郎爺は、帯の間から
金側時計を引抜いて、それを覗きながら腰を上げた。 「おや! こんなどこさまで松埃....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
えいや助からん」 と苦しい中で懐から金を取り出し、 新「……五百円、それに此の
金側の時計も別して記のある訳でない、お持料になされて下さい、他の物は記が有ります....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
うと云うが、御夫人は貞操を立て、生涯尼になってと云うのでげしょう……形装も宜し、
金側の時計に鎖は小さな珊瑚珠が間に這入ってゝ、それからこう頸へかける、パチンなど....
「金魚」より 著者:豊島与志雄
た。 電車通りに出ると、美しく飾り立てた時計屋の店先が眼に止った。小形な梨地の
金側時計が一つあった。「いい時計だな、」と彼は思って、窓際に立ち止った。正札が裏....
「作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
ども、金の煙草入がない。散歩杖はあるけど金の頭飾りがない。ぜんまいや歯車はあるが
金側時計がない。そしてこれは全く気狂いのような話しじゃが、あの古い弥撤書にある基....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
ざとらしい小さなあくびをした。 「じゃあ、僕は失敬するよ」佐竹は小声でそう呟き、
金側の腕時計を余程ながいこと見つめて何か思案しているふうであったが、「日比谷へ新....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
そのとき、この男は革のカバンに、十一万三千円の現金と、外国製時計七個(うち四個
金側)、ダイヤ指輪二ツ、写真機、万年筆四本、等をもっていた。私の全財産よりも、だ....
「指輪一つ」より 著者:岡本綺堂
真っ黒でしたが、からだの大きい、元気のいい、見るから丈夫そうな男で、骨太の腕には
金側の腕時計などを嵌めていました。細君は四十一で、総領のむすめは十九で、次のむす....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
りあるもので、運のいゝ方は顛んだかと思えば札を拾い、川へ落ちてガバ/\していると
金側時計を拾うような事があり、又間が悪いと途中で手水が出たくなって、あゝ何所かに....