金紗[語句情報] » 金紗

「金紗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

金紗の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
は或夜、大変混雑な文学者会が、某洋食店楼上で催され麻川氏もその一端に居た。淡い色金紗の羽織がきちんと身に合い、手首のしまったきびきびした才人めいた風采が聡明そう....
蟇の血」より 著者:田中貢太郎
れに支那風の朱塗の大きな椅子を五六脚置いた室があった。前に入って往った女は華美な金紗縮緬の羽織の背を見せながらその椅子の一つに手をやった。 「どうかおかけくださ....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
れな顔に黒い鬢《びん》を張って、おしどりに結って緋《ひ》鹿《か》の子《こ》の上を金紗《きんしゃ》でむすんでいた。つまみの薬玉《くすだま》の簪《かんざし》の長い房....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
島ちゃんは面長な美女で、好んで黄八丈の着物に黒じゅすと鹿の子の帯をしめ、鹿の子や金紗《きんしゃ》を、結綿《ゆいわた》島田の上にかけているので、白木屋お駒という仇....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
《じ》んだ髪をきらっていたから、菅糸《すがいと》だって、葛引《くずひき》だって、金紗《きんしゃ》(元結《もっとい》ぐらいな長さの、金元結の柔らかい、縒《より》の....
反抗」より 著者:豊島与志雄
》の間《ま》の上に抛り出しながら、餉台の前に膝をくずして坐った。お召の着物の上に金紗の羽織をだらりとつけていた。淡緑色の無地の繻絆の襟から、痩せてるわりに肉のむ....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
かったわね、何でもなくて。」 大きく揚羽蝶を染め出した羽二重の帯に、派手な小紋金紗の羽織をつけていた。方々へ香奠返しをする折に、秋子の形見分《かたみわ》けとし....
道化役」より 著者:豊島与志雄
も……。」 私の心は不思議なほど落付いていた。彼女も落付き払ってるようだった。金紗の着物も縫紋の羽織も、もう何度か水をくぐったらしい萎びかたをしていたが、その....
南さんの恋人」より 著者:豊島与志雄
たことか。――やって来た登美子は、染分け地に麦の大模様をあしらったモダーン趣味の金紗の着物をき、髪はお粗末な洋髪で、眼の大きな口許のひきしまった丸顔、どこかはす....
坂田の場合」より 著者:豊島与志雄
らッとあたしは声をたてました。あたしの着物……大きな赤い牡丹のついた、友禅模様の金紗の袷です。乳母はそれをあたしの膝の上において、あやまるんですの。お嬢さまに別....
田園の幻」より 著者:豊島与志雄
上で、花子の小さな柳甲李は開かれた。意外なほど粗末な衣類ばかりだった。ぺらぺらの金紗の着物が最上等で、ふだん着同様な着物や帯や長襦袢ばかりだ。ただ、上等の帯締と....
愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
た髷に結って、薄紫の地に銀糸の縫をした半襟、葡萄の肌を思わせるようなすべすべした金紗の羽織、帯や着物など委しい事は私に分らないけれども、それらのものが、健康を思....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
初世の眼を初めて見た気がした。遠くからのアセチレン燈の微光が、初世のオリーブ色の金紗の着物を朝草のように青々と浮き立たせていた。 と言つて、初世は拒みもしなか....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
胸の上に抱かれたまま、羽織の下に片手を廻し、帯の掛けを抜いて引き出したので、薄い金紗《きんしゃ》の袷《あわせ》は捻《ねじ》れながら肩先から滑り落ちて、だんだら染....