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針の筵
「針の筵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
針の筵の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玩具」より 著者:太宰治
訴《あいそ》を母から受けても、私はただ不可解な微笑でもって応ずるだけなのである。
針の筵《むしろ》に坐った思いとよく人は言うけれども、私は雲霧の筵に坐った思いで、....
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
と直ぐ悲しくなって眼には涙を催してまいりますが、坐らない訳にはまいりませんから、
針の筵《むしろ》にいる気で楼主の前に坐り下を向いたまゝで顔を上げない。 楼「花....
「灯籠」より 著者:太宰治
ございます。私は、水野さんが、もともと、お金持の育ちだったことを忘れていました。
針の筵の一日一日がすぎて、もう、こんなに涼しくなってまいりました。今夜は、父が、....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
跳付《はねつ》けて而已《のみ》いてさらに取合わず、そして独りでジレている。文三は
針の筵《むしろ》に坐ッたような心地。 シカシまだまだこれしきの事なら忍んで忍ば....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
あの児、障子を一枚開けていな。」 と黒縮緬の袖で払って出家が言った。 宗吉は
針の筵を飛上るように、そのもう一枚、肘懸窓の障子を開けると、颯と出る灰の吹雪は、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
れを。明さんは、手を取合ったは仇し婦、と気が着くと、襖も壁も、大紅蓮。跪居る畳は
針の筵。袖には蛇、膝には蜥蜴、目の前見る地獄の状に、五体はたちまち氷となって、慄....
「死者の書」より 著者:折口信夫
内に、もう復、都を離れなければならぬ時の、迫って居るような気がして居た。其中、此
針の筵の上で、兵部少輔から、大輔に昇進した。そのことすら、益々脅迫感を強める方に....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
かを見聞くにつけて、自ら浅ましくも牛馬同様の取り扱いを受くるを覚《さと》りては、
針の筵《むしろ》のそれよりも心苦しく、仮《たと》い一旦《いったん》の憤《いきどお....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
か如才ないらしく、初対面から打ち解けていろいろの話を仕掛けますけれども、こっちは
針の筵に坐っているのですから、満足の受け答えができよう筈がありません。相手が打ち....
「秘密の相似」より 著者:小酒井不木
した。そうして、愈よ二人きりになりました時も、私にとっては、あの柔かい褥がいわば
針の筵で御座いました。私の身体の不浄は、せめてもの幸いといってよろしく、若しそう....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
遠ざけられ、憚られ、疎まれ、かつ卻けられ、邪魔にされたごとく思ったので、何となく
針の筵。眉も目も鼻も口も、歪んで、曲って、独りで拗ねて、ほとんど居堪らないばかり....
「柳生月影抄」より 著者:吉川英治
うに考えつめていた事ばかりだった。それへざらざらと触るのである。月の莚は彼には、
針の筵だった。 右門は江戸で生れたので、家来の話に聞いただけであるが、この長兄....