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「釣瓶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

釣瓶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
卑怯者」より 著者:有島武郎
まわる子供たちの群れが小うるさかった。夕餉《ゆうげ》前のわずかな時間を惜しんで、釣瓶落《つるべお》としに暮れてゆく日ざしの下を、彼らはわめきたてる蝙蝠《こうもり....
高野聖」より 著者:泉鏡花
けておいた、枝の尖《さき》へ長い手で釣《つる》し下《さが》ったと思うと、くるりと釣瓶覆《つるべがえし》に上へ乗って、それなりさらさらと木登《きのぼり》をしたのは....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
なしと、竹のずんど切の花活を持って、庭へ出直すと台所の前あたり、井戸があって、撥釣瓶の、釣瓶が、虚空へ飛んで猿のように撥ねていた。傍に青芒が一叢生茂り、桔梗の早....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
私は吃驚して飛退いた。 敷居の外の、苔の生えた内井戸には、いま汲んだような釣瓶の雫、――背戸は桃もただ枝の中に、真黄色に咲いたのは連翹の花であった。 帰....
婦系図」より 著者:泉鏡花
に、階子段を下りる音。トタンに井戸端で、ざあと鳴ったは、柳の枝に風ならず、長閑に釣瓶を覆したのである。 見知越 五 続いてドンドン粗略....
古狢」より 著者:泉鏡花
あるし、ここを出たら、それこそ、ちちろ鳴く虫が糸を繰る音に紛れる、その椎樹――(釣瓶おろし)(小豆とぎ)などいう怪ものは伝統的につきものの――樹の下を通って見た....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
た。 それと申すが、まず庭口と思う処で、キリキリトーンと、余程その大轆轤の、刎釣瓶を汲上げますような音がいたす。 もっとも曰くづきの邸ながら、貴下お一方はま....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
わを付けて、倒に海の深みへ沈めます。ずんずんずんと沈んでな、もう奈落かと思う時、釣瓶のようにきりきりと、身体を車に引上げて、髪の雫も切らせずに、また海へ突込みま....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
……睫毛にたまって、涙が一杯。……風が冷く、山はこれから、湿っぽい。 秋の日は釣瓶落しだ、お前さん、もうやがて初冬とは言い条、別して山家だ。静に大沼の真中へ石....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
黒塗の華頭窓に掛っていて、その窓際の机に向って、お米は細りと坐っていた。冬の日は釣瓶おとしというより、梢の熟柿を礫に打って、もう暮れて、客殿の広い畳が皆暗い。 ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を背戸にして別荘だちが二三軒、廂に海原の緑をかけて、簾に沖の船を縫わせた拵え。刎釣瓶の竹も動かず、蚊遣の煙の靡くもなき、夏の盛の午後四時ごろ。浜辺は煮えて賑かに....
黒百合」より 著者:泉鏡花
閉切ってある、荒物屋の小店の、燻った、破目や節穴の多い板戸の前を抜けて、総井戸の釣瓶がしとしとと落つる短夜の雫もまだ切果てず、小家がちなる軒に蚊の声のあわただし....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
の史跡を論ずるのは極楽の名所|図会や竜宮の案内記を書くようなものだが、現にお里の釣瓶鮨のあとも今なお連綿として残り、樋口の十郎兼光の逆櫓の松も栄え、壺阪では先年....
山吹」より 著者:泉鏡花
女です――夫に事うる道も、第一、家風だ、と言って、水も私が、郊外の住居ですから、釣瓶から汲まされます。野菜も切ります。……夜はお姑のおともをして、風呂敷でお惣菜....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
中から見た所かしら、そして月夜のようだよ。」 真中に手がついて、見ると、四角な釣瓶に似て、しかも影燈籠の意匠らしい。 「ちょっと欲いなあ。」 「欲いの?」 「....