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釣船
「釣船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
釣船の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幻談」より 著者:幸田露伴
ものはいろいろよく知っているし、この人は吉を好い船頭として始終使っていたのです。
釣船頭というものは魚釣の指南番《しなんばん》か案内人のように思う方もあるかも知れ....
「新生」より 著者:島崎藤村
部屋のつい外にある長い廊下でも歩いて見るように。
その河岸へ来る度《たび》に、
釣船屋《つりぶねや》米穀の問屋もしくは閑雅な市人の住宅が柳並木を隔てて水に臨んで....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
て来たりした。ある日はまたにわかに暑くなって、葉子は彼をさそって橋の下から出る蟹
釣船に乗って、支那の風景画にでもあるような葦の深いかなたの岩を眺めながら、深々し....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
台場の下に浮かべてある夥しい材木の蔭に潜んで追捕の手を遣り過し、程近い潮場の下の
釣船を奪って逃げるつもりであったが、その中に四人の中の一人が、 「……オイ……石....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
艪を漕いだのは銑さんであった、夢を漕いだのもやっぱり銑さん。 その時は折悪く、
釣船も遊山船も出払って、船頭たちも、漁、地曳で急がしいから、と石屋の親方が浜へ出....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
。 なお、人麿の※旅歌には、「飼飯の海の庭よくあらし苅ごもの乱れいづ見ゆ海人の
釣船」(巻三・二五六)というのもあり、棄てがたいものである。飼飯の海は、淡路西海....
「高知がえり」より 著者:寺田寅彦
山ばかり見ているうちはや神島まで来て、久礼はと見たけれども何処とも見当がつかぬ。
釣船が追々に沖から帆を上げて帰って来る。甲板を下駄で蹴りながら、昨日稽古した「エ....
「鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
っと広かったに違いない。 信濃なる衣ヶ崎に来てみれば 富士の上漕ぐあまの
釣船 西行法師の歌だというが、決して決してそんな事は無い。歌聖西行法師たるもの....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
べりと浴衣《ゆかた》を冠りし真裸体《まはだか》の男二人雨をついて走る。首尾の松の
釣船《つりぶね》涼しく椎木屋敷《しいのきやしき》の夕蝉《ゆうせみ》(中巻第五図)....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
があった。その頃には東京府府立の中学校が築地にあったのでその辺《へん》の船宿では
釣船の外にボオトをも貸したのである。今日築地の河岸を散歩しても私ははっきりとその....
「本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
》の末の事なれば春も既に暮れぬ。海上遥かに霞こめ浦路の山も幽《かすか》なり。沖の
釣船の沈の底に浮き沈むを見給ふにも、我身の上とぞ思はれける。(中略)念仏高く唱へ....