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鈍る
「鈍る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鈍るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
この期になってびくつくまいぞ」 娘の冴えまさる美しい顔を見ると、その毒心もつい
鈍るので翁は眼を娘から外らしながら声を身体中から振り絞るべく、身体を揉み揺り地団....
「猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
も」 「なにしろ、それを聴きますと他の職工たちが嫌がるもんですから、まあ、士気が
鈍るというようなわけで、それで、なるべくはあなたに、どこかここから遠いところへ引....
「鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
鎮定、その内に伏見の砲声も追々遠く相成り、京軍勝利の様子に相成り候まゝ終夜砲声|
鈍る事|無之、朝四時迄にわづかに相止み申候。 京都の一市民の戦争当夜の感じが、....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
いとすれば、そういう顔の持ち主とは、永久会うことは出来ないかも知れない」 鑿の
鈍るような気持ちがした。 清水の滴る音がした。 滴水の音と鑿の音、それ以外に....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
彼は手足をちゞめて横になり、神妙に頭をのべて鞭を受けた。其為め余が鞭の手は自然に
鈍るのであった。彼は長い間浮浪犬として飢じい目をした故であろ、食物を見ると意地汚....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
に油が乗っている時には妙に文章が書けなくなる。文章に興味を感じる時絵を描く神経は
鈍る。病院にも内科外科婦人科の別ある如く、その係りがちがっているのだと思われる。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
行きつ戻りつしました。 知識があればあるほど、考えが複雑になって、最後の決断の
鈍るのを、自分ながらどうすることもできません。 こういう時には、天啓ということ....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
共十の時から今までのかなり長い間年に二度会うか会わないで居ながらどうしても弱らず
鈍る事のない愛情を※子は持ちつづけて来た。 お久美さんの両親のない事、力になる....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ころがって行く日常です。幸、咲枝はああいう気質だから、よほどましですが。尖らず、
鈍る形で現れるのですが。こういう子をもつ親は誇張でなく試練的ね。特に母が、ね。同....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
し、私はやはりあの意志の二重性に呪われていた。そして、悔悟の最初のするどい切先が
鈍ると、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
うな気がする。それは俺にとって堪らないことだ。 十月十九日――今日は非常に視力が
鈍る。陰鬱な考えに終日耽っている。 晩になって母と喧嘩をした。隆吉が余り泣....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
と、彼は妻の帰って来ないうちに、家を逃れ出る必要があった。妻の顔を見ると、決心が
鈍るかも知れないし、妻に余計な苦痛を与えるような結果になるかも知れない。 「私は....
「三国志」より 著者:吉川英治
どが何であろう。そなたの心が――せっかく奮い起した大志が――この母ひとりのために
鈍るものならば、母は、億民のために生命を縮めても、そなたを励ましたいと思うほどで....
「野槌の百」より 著者:吉川英治
らだって、もう嫁娶る年だもの、おっ母に、心配顔をされると、野鍛冶の槌が、よけいに
鈍る」 すすきは伸びて、夜のような夏草に、夜ごと、更けるのを知らない野鍛冶の家....
「ダルマ船日記」より 著者:山之口貘
と言う。いよいよダルマ生活の伝統に触れて来たのかと思うと、僕の食欲さえがいささか
鈍る様子であった。事実、潮水を汲もうとすれば、下ろしたバケツのぐるりを、くるりと....